
える・えるシスター 5巻 (IDコミックス REXコミックス)
- 作者: 邪武丸
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2011/01/27
- メディア: コミック
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堂々の百合ラブストーリーとして完結
一菜とふたばの姉妹百合漫画、完結編。一読してびっくり、性的な要素もありの堂々の百合ラブストーリーとして収束してますよこれ! しかも、面白いよ! 前巻では恋愛というより家族愛な方向に傾いていた(ように見えた)ため、まさかここまで真正面から百合な終わり方になるとは思っていませんでした。いやあ堪能した。2人の心の揺れといい、余韻ある性描写といい、脇キャラたちの役回りといい、100点満点で120点ぐらいつけたいです。
心の揺れについて
特にふたばの側の揺れが興味深かったです。1巻では同性愛を「おかしな道」と形容していたふたばが、ここに至って初めて一菜を恋の相手として意識し、揺れに揺れまくるんですよ。その「揺れ」には姉への性的欲望の萌芽も含まれていて、見ていて微笑ましいやらくすぐったいやら。こういう形で収束するのなら、1巻での「おかしな道」発言もまったくノープロブレムだと思いました。
性的要素について
上で述べた通り、今回はふたばの側の性的欲望がクローズアップされる上に、キスもあればセックスの暗示もあります。この暗示の部分が、たいへん心憎かったです。具体的にはp. 126なんですが、表情といい台詞といいラストのコマの余韻といい、あけすけな絡みよりよっぽどエロくてラブいですよあれは! ラウラ・アントネッリの『青い体験』みたいに鮮烈でういういしい思春期エロスだと思いました。いやストーリーは全っっ然違うんですけど、初体験のドキドキ感という点で、なんか連想しちゃって。
脇の皆さんについて
ヒメたちの友情パワーや小中居家母の爆弾発言(p. 128)も楽しかったのですが、何よりすばらしかったのはねね子先生。まず、先生の突き抜けた変人ぶりを物語るギャグの数々が秀逸です。あたしがもっともウケたのは回想シーンの乗物ネタですが、それ以外もみな破壊力満点。さらに、ここまでエキセントリックなキャラだからこそ、一菜への恋のアドバイス(pp. 86 - 87)が余計に胸に響くという仕掛けになっていて、そこもとてもよかった。珍しく教師らしい発言の中にも「変だからって、それがどうした」というヘンタイ魂が輝く名場面でした。
まとめ
女同士の愛とエロティシズムに満ちた大団円。ここまで百合百合しいオチに着地すると読めていなかったあたしの完敗でございました。上では書ききれませんでしたが、躍動感あるアクションや納得の(そしてやっぱり百合な官能の香る)エピローグなどもとてもよかったです。未読の方には、1巻から全部まとめて通読されることをおすすめします。