石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『Seriously... I'm Kidding』(Ellen DeGeneres、Grand Central Publishing)感想

Seriously...I'm Kidding

Seriously...I'm Kidding

米国の人気レズビアンタレント、エレン・デジェネレスのギャグエッセイ本。「こんなところまで?」と思う箇所にまでジョークがぎっしり詰め込まれており、息をもつかせぬ面白さでした。裏表紙からしてこんななんですよ。(以下、みやきち拙訳)

あら、どうも。本をひっくり返してここを見ようと思ってくれてありがとう。たぶん知ってると思うけど、ここっておしゃれな人たちが本を誉め称えることばを載せる場所なのよね。でも私、そういうのってちょっと嫌なの。なんだか本を売りつけるためのインチキっぽいし、私、そういう安っぽい仕掛けって信じてないから。それにだいたい、頭が良くて美しいあなたはそんなことに騙されないもの。

でもこの文章の下にはしっかり誰かのことばの引用が並んでるんですよ。どうなっているのかと思ったら、

あなたの着てるブラウス素敵ね。この本にとてもよく似合うわ。――エレン・デジェネレス

あなたがこの本を持っている、その持ち方が大好き。まるでこの本を買ってずっと持ってるために生まれたみたい。――エレン・デジェネレス

てな具合に、全部自給自足でエレンのことばを並べてあるんです。つまり裏表紙全体が、既存の本の売らんかなのギミックに対するパロディーになってるわけ。同様に献辞も、著者紹介も、結びのことばも、もちろん本文も、力の限りふざけまくっています。そのサービス精神に、まず脱帽。どこを取っても読者との距離感の近さがすごいし、上沼恵美子的にエスカレートしていくギャグも楽しく、本を読んでいるというよりエレンのスタンダップコミックを特等席で見ているかのような贅沢感が味わえました。日本語版を出すならぜひ岸本佐知子さんに訳してもらいたい面白さ、と言えばこの絶妙なおかしさが伝わるでしょうか。

語り口調で書かれているため、文章はたいへん平易です。ひとつひとつのチャプターがごく短い(長くて5〜6ページ)のも読みやすくて助かりました。次は同著者の『The Funny Thing Is...』を読もうと思ってます。