異能戦ふたたび。女体のモノ化が激しいです
麻雀百合漫画、第10巻。全国大会第2戦副将戦から大将戦の途中まで。オカルト要素全開の闘牌シーンは楽しいものの、キャラの女体をモノ扱い(性的対象化)しているかのようなコマが多いのが気になります。こんなことしなくても売れる作品だと思うんだけど。
異能戦楽しいです
異能バトルは副将戦の初美vs塞の対決が白眉。「悪石の巫女」こと初美の能力発現時に鳥居がどーんと登場するところまではまだ予想できましたが、まさか塞が空からストーンヘンジを降らせてそれに対抗するとは思いもよりませんでした。そう、戦いはもはや麻雀を越え、悪石島vsブリテン島のオカルト対決と化しているのです。未読の方には何を言っているのかわからないと思いますが、これこそ『咲-Saki-』の醍醐味です。
このふたりとはまた違う意味で面白かったのが、大将戦での豊音の不気味な強さ。試合が進むごとに、何度も繰り返される
とおらば――リーチ
ぼっちじゃないよー
という台詞が段々凄みを増してくるのがポイント。ビジュアル面でのド派手な演出がなくても迫力ある超能力バトルは描けるという好見本ですね。豊音の、「驚くほどの長身で、夏なのに黒ずくめ」という外見と、実は人なつっこくて涙もろいという内面のコントラストもよかった。
キャラの体の扱われ方
キャラたちの女体が、ただの性的な「モノ」扱いされているかのごときコマが目立つのが気になりました。たとえば、初美が不自然なまでに諸肌脱いでスクール水着の日焼けのある胸をさらし続けているところとか。和が涙目で地面に叩きつけられ、やはり不自然なまでにひしゃげた巨乳が強調されているところとか。
こうした表現を見ると、どうしてもナショナルジオグラフィックの「 男性はビキニの女性を“対象”とみなす」というニュース記事を連想してしまいます。以下、ちょっと引用します。
男性の脳をスキャンした結果、肌の露出度が高い女性の写真を見せられたとき、脳の道具の使用とかかわる領域が活性化することが明らかになった。
また、研究を率いたプリンストン大学の心理学者スーザン・フィスク氏によると、男性はセクシーな女性の写真を「押す、つかむ、扱う(I push, I grasp, I handle)」といった一人称の動詞と結び付ける傾向があるという。
「さらに、“ショッキング”なことに、相手の意図を考えるときなどに反応する脳の領域がまったく働かない男性もいた。つまり、そうした男性は女性を性的な魅力があるとはとらえるが、女性の心については考えていない。社会的認知にかかわる領域が活性化しないのは本当に異常なことだ。そんなことはめったにないから」と、フィスク氏は指摘する。
初美や和の胸も、これらのコマでは「押す、つかむ、扱う」ためのモノ扱いされているような気がします。ぶっちゃけ性具扱い。そこがどうにも好みに合わなくて、読んでてつらいものがありました。お好きな方にはたまらないのかもしれませんが、あたしにはちょっと無理。ここまでポルノ的な描写を多用しなくてもじゅうぶん売れる漫画だと思うんだけどなあ。
その他
ライバルたちがこれだけ激しい異能戦を繰り広げている一方、和と咲は比較的淡々と戦っているところはおもしろいと思いました。県予選まで読んだ時点で、「予選でこれじゃ、この先強さのインフレで手詰まりにならないだろうか」という危惧が若干あったのですが、この分なら問題なさそうですね。
まとめ
迫力ある超能力麻雀が存分に楽しめる巻でした。和や咲にはまだ淡々と戦わせておくというペース配分も好印象。ただ、女体描写のありようには疑問も感じます。女性の画像を見て「意図や心を持たない、性的な道具」と認識するタイプの脳をお持ちな方なら大丈夫なのかもしれませんが、あたしにはちょっとキツかったです。
- 作者: 小林立
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2012/06/25
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