2014年12月21日、英国の歌手エルトン・ジョン(Elton John)がパートナーと同性婚しました。日本語メディアだとあたかもエルトンがシビルパートナーのままで結婚式だけ挙げたかのごとき報道をしているところもあったけど、正真正銘の法律婚ですからね、これ。
詳細は以下。
Elton John and David Furnish: Utterly overwhelmed by support for our marriage · PinkNews
まず写真をどうぞ。
法的手続きを済ませるエルトンと、パートナーのデイヴィッド・ファーニッシュ。
ちなみに12月21日というのは、ふたりが9年前にシビルパートナーシップ(登録パートナーシップ)制度の登録をした日付なのだそうです。英国では2014年3月から同性婚が認められ、シビルパートナーから結婚への変更も可能になったので、記念すべき12月21日にその手続きをしたわけ。
手続きの次は結婚式。
式にはもちろんお子さんたちも出席。下の子のイライジャくんは、ぬいぐるみを抱いて参加。
お兄さんのザッカリーくんはどこ、と思ったら、この写真はほかならぬザッカリーくんがお父さんたちが誓いを交わす瞬間に撮影したものなんだそうです。おめでとうございます、皆さまお幸せに。
そんでね、このニュース関連のはてなブックマークコメントを読んでいたら、なぜかエルトンとデイヴィッドはいまだシビルパートナーシップ制度を利用しているのであって「結婚」は式だけだと誤解している人がいたのね。「へ?」と思っていろいろ検索してみたら、よくわかんない報道の仕方をしている日本語メディアがちらほら見つかりました。
まずCNN日本版。
(CNN) 今年に入って同性婚が合法化された英国で21日、英歌手エルトン・ジョンさんと長年のパートナーだったデービッド・ファーニッシュさんが結婚式を挙げた。
2人は交際を始めてから12年目の2005年、同性カップルにも異性の夫婦とほぼ同等の権利を認める市民パートナーシップ制度に基づいて式を挙げ、代理母を通じて2人の男の子が生まれている。
ふたりの結婚については「結婚式を挙げた」とだけ述べ、正式に法律婚したのかどうかについてはぼかされてしまっています。その上で市民パートナーシップ制度について書き連ね、「パートナーシップ制度に基づいて式を挙げ」たなんて書いている(よく読めばこちらは2005年のことだとわかるとは思うんですが)ので、こういうのをさっと読んだ人が誤解したんでしょうねきっと。
しかし英語版のCNNでは見出しではっきり"get married"と述べているのに、なんで日本語版記事だと見出しもリードも「とりあえず式だけ挙げました」みたいに受け取れる書き方にされちゃってるんでしょうか。挙式と結婚は同義じゃないのに、その区別がつかないお年寄りが書いたとか?
J-CASTテレビウォッチあたりも、なんだかよくわからない報道っぷりでした。
ミュージック界の大御所エルトン・ジョン(67)は21日(2014年12月)、長年のパートナーで、代理母との間にザカリー君(4)とエリジャ君(1)をもうけた映画プロデューサーのデビッド・ファーニッシュと念願の結婚式を挙げた。イギリスでは今年3月に同性婚を正式な結婚として法的に認める決定をした。
こちらもやはり「結婚した」ではなく「結婚式を挙げた」という言い回しにされてしまっています。英国政府が同性婚を認めたことは報じる一方、エルトンがその制度を利用したのかどうかについては結局最後まで触れずじまい。この記事の見出し(“エルトン・ジョン念願の「同性婚」!セレブ集めた披露宴写真公開”)で、同性婚という語にわざわざカギカッコがつけられている意味もわかりません。なんでこうなっちゃうの。
逆に、短い文章で的確に事実を報じていたのがロイター。
英歌手エルトン・ジョンさんが21日、同性のパートナーであるカナダ人映画製作者デービッド・ファーニッシュさんと正式に結婚した。
2人は、2005年に英国で同性のカップルに異性の夫婦と同等の権利を与える「市民パートナーシップ」が認められて以降、事実上の婚姻関係にあったが、今年に入って同性婚が合法化されたことを受け、結婚式を挙げた。
こういうのでいいんだよ、こういうので。他には、NHKニュースやGQ JAPANなどが要を得た報道をしていると思いました。
日本はLGBT情報についてはただでさえガラパゴス化しがちだけど、数少ない日本語での報道でさえマジョリティ目線のフィルタがかかって妙な表現になっていたりするので、注意が必要だと思います。偏見を温存したい人にとってはとても快適な環境なのかもしれませんがそうでない人は元情報にあたるようにするか、複数メディアをチェックするくせをつけた方がいいよー。