石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

人気の児童書最新刊がブックフェアから排除 理由は「ゲイのキャラがいるから」

Captain Underpants and the Sensational Saga of Sir Stinks-a-lot

米ミシガン州のある小学校が、ブックフェア(本の展示販売会)の棚から児童向け小説『スーパーヒーロー・パンツマン』(原題"Captain Underpants")シリーズ最新刊を排除すると決定しました。理由は、「登場人物のひとりがゲイだから」。

詳細は以下。

“Captain Underpants” gets banned from school book fair because of gay character – LGBTQ Nation

『スーパーヒーロー・パンツマン』は、米国の絵本作家/児童文学作家のデイブ・ピルキー氏による人気シリーズ。現在12巻まで刊行されており、5巻までは日本語に翻訳されています。以下、日本のAmazonより、1巻(『スーパーヒーロー・パンツマン〈1〉パンツマンたんじょうのひみつ』)の内容説明をどうぞ。

「パンツマン」は、小学四年生のジョージとハロルドが描いたマンガの主人公。パンツ一丁で悪と戦うパンツマンのマンガは、学校の友だちにバカうけだ。ところがある日、ふたりのイタズラのせいで、空想がほんとうになってしまい、校長先生がパンツマンに変身!?パンツのゴムがのびるより早く走り、どんなときも、パンツがおしりにくいこまない、ニューヒーロー・パンツマンたんじょうのひみつを描くシリーズ第一弾!「ふたこまアニメパラパラ大げきじょう」もあるよ!小学校低・中学年~。

問題は、シリーズ12作目の"Captain Underpants and the Sensational Saga of Sir Stinks-a-lot"で、とある主要キャラクタに将来同性パートナーができると明かされたこと。これが原因で、ミシガン州モンローのアルバーウッド小学校(Arborwood Elementary School)では、この本をブックフェアの棚には置かないと決めてしまったのだそうです。

ClickonDetroit.com によれば、大多数の保護者がこの措置に賛成したとのこと。ちなみにこの本、オンラインのブックフェアでは注文できるんだそうです。要するに、「ゲイキャラがいる本を、子供が自由に手に取れるところに置くこと」が問題視されたってわけ? 

ものすごく皮肉なんですが、この小学校の校訓はこちら。

生徒たちに世界を変える準備をさせる

“Preparing Students for a Changing World.”

変えられないと思うわ、この教育方針じゃ。生徒の中にも(そして保護者や教員の中にも)同性愛者はいるはずなのに、学校自ら「同性愛とは隠すべきものである」と教え込んでるようじゃ、差別的な現状に従順たれという教育をしているだけだよ。

なお、『スーパーヒーロー・パンツマン』シリーズが学校等で禁止されるのはこれが初めてではないらしく、The Guardianでは今年8月、それに対する作者の意見を紹介しています。ちょっとだけ訳してみます。

誰でも本について意見を持つ権利があることはわかっています。でも、それは単なる「意見の相違」どまりであるべきです。必要なのはシンプルな変化だけ。「子供たちにこの本を読ませるべきではないと思う」と言うかわりに、ただこう言ってください。「うちの子にはこの本を読ませるべきではないと思う」と。

I understand that people are entitled to their own opinions about books, but it should be just that: a difference of opinion. All that’s required is a simple change. Instead of saying “I don’t think children should read this book,” just add a single word: “I don’t think my children should read this book.”

こと本の話になると、よい読みものを作り出すのは何かということについて、万人の意見が一致することはないかもしれません。しかし、子供が本好きになる手助けをするには、自分が読む本を自分で選ばせてやるということがきわめて重要だということについては、意見が一致するよう願っています。

When it comes to books, we may not all agree on what makes for a good read – but I hope we can agree that letting children choose their own books is crucial to helping them learn to love reading.

動画による説明はこちら。ものすごくまっとうなことしか言ってないと思います。むしろ読みたくなったわ、このシリーズ。