石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

米オハイオ州でゲイカップルが暴力をふるわれ負傷

Columbus, Ohio ~ Short North
Columbus, Ohio ~ Short North / VasenkaPhotography

2017年1月28日午前2時頃、米国オハイオ州コロンバスで通りを歩いていたゲイカップルが8人前後の男たちから暴力をふるわれ、流血のけがを負いました。

詳細は以下。

Gay couple believes they were targeted in Short North attack | WBNS-10TV Columbus, Ohio | Columbus News, Weather & Sports

被害を受けたBryson BeierさんとMantej Sandhuさんによると、事件は彼らが家に帰ろうとして道を歩いているときに起こったとのこと。ことの起こりは、車に向かって歩いていた4~5人の黒人男性グループがBeierさんたちを同性愛者を指す強い罵倒語でののしり、あげく瓶を投げつけてきたことにありました。Beierさんたちが振り返って、その男性たちの車のナンバープレートの写真を撮ったところ、4~5人の男が乗った別の車がその場に停まり、前からいた4~5人と一緒になってこのカップルに暴力をふるったのだそうです。

「彼らは、『ウチのもんに手ェ出すつもりか!?』って感じでした。それでいきなり(攻撃を)始めて、わたしは顔を殴られ、地面に投げ出されました。横では彼が別の5人の黒人から同じ目に遭わされていました」とSandhuは言った。「代わりばんこにパンチ、キック、パンチ、キックとやられました。彼らは『イエーイ、イエーイ。(パンチ、キック)気に入ったかよ?』という風でした」

"They were like, 'You trying to mess with my boy?' And then all of the sudden they start, they punch me in the face, throw me on the ground. and next to me he was going through the same thing with the other five black guys," said Sandhu. "Each took a turn- punch, kick. Punch, kick. They were like, 'Yeah, yeah.' Punch, kick. 'You like that?'"

「自己防衛のためだったのかどうかはわかりませんが、視界が暗くなって、脳みそは一種のシャットダウンを起こし、1分間ほどほとんど感覚を失っていました」とBeierは言った。

"I don't know if it was like my own personal self-protection or what, but my vision went black and my brain just kind of shut down and I almost stopped feeling for a minute," said Beier.

WBNS-10TVのアシスタント・リポーターが、被害者の怪我の様子がわかる写真をTwitterに上げています。

NBC4 Columbusのニュースでは、ふたりの911通報の音声や、現場の状況、警察の発表なども報じられていました。

なおWBNS-10TVによれば、コロンバス警察はこの事件を捜査し、事実を検察官に示すと言っているとのこと。

ゲイが平等な扱いを求めると、「同性愛者はもう異性愛者と平等なのに、それ以上の特別な権利や配慮まで要求している」とか、「理解しろと押しつけるな」のような反応を示す人は米国にも日本にもたくさんいます。何か根本的な勘違いがあるのだと思います。道を歩いているだけでこんな目に遭うのに、これが「平等」だなんてありえないよ。それに、これは「理解」の問題なんかじゃない。

ゲイ・コミュニティがマジョリティに対して一貫して要求してきたのは、端的に言えば、「加害するな」というきわめて当たり前のことだと思います。それが特権の要求だの理解のおしつけだのに見えてしまうというのはつまり、「異性愛者は自分が『理解』できない相手に好きなだけ害をなす権利を有しているのであり、それをやめさせようとするのは不当」と言っているも同然なのでは。あ、言っておきますがここで言う「害」というのは今回のオハイオ州の事件のような殴る蹴るの暴力だけではなく、言葉の暴力や、同性愛を「みんなで嗤える面白ネタ」扱いすること、賃貸物件の入居差別、アウティング等々も含んでますよ念のため。その手の加害が蔓延している現状を「平等」と称し、いつまでもこれまで通り加害し続けようとすることこそが特権の要求と呼ばれてしかるべきだと思うんだけど……たぶん言っても通じないんだろうな、こういう話。「頭数が多い方が偉い」とか「(ぼくのかんがえた)生物学的には」とか、おなじみの周回遅れの議論が飛んでくるだけだわ、おそらく。

ちなみにTowleroadのコメント欄では、今回事件が起こったショート・ノースという場所はゲイタウンであり、加害者側もそれを知っていたはずで、これは間違いなくヘイトクライムだと指摘されています。実際、ちょっと調べてみたところ、このショート・ノースはコロンバス・プライドの中心地で、ゲイ/レズビアンフレンドリーな場所として有名らしいんですよね。そんな街でこんな事件が起こるだなんて。やっぱり「平等」なんて、まだまだ遠い話だとあたしゃ思いますよ。