2017年6月14日に米国バージニア州で共和党議員らが銃撃を受け負傷した事件で、アンチゲイなレイシストのスティーヴ・スカリス(Steve Scalise)議員を黒人レズビアンの警官が身を挺して救っていたとわかりました。
詳細は以下。
Heroic lesbian cop saved anti-LGBT Republican lawmakers during baseball shooting · PinkNews
スカリス議員はかつて同性婚を「不正」、「国家に対する連邦の侵入行為」と呼び、さらには米国で同性婚できないようにする憲法修正案の共同提案者もつとめていた人。白人国粋主義者のヘイトグループが主催した集会でスピーチをしたこともあり、レイシストとしても批判されています。
皮肉なことに、バージニア州銃撃事件の日にこのスカリス議員の警護を担当し、自らもかかとを撃たれながら銃撃戦で犯人を制した警官は、黒人のレズビアンで、しかも女性と結婚しているクリスタル・グライナー(Crystal Griner)さんだったのだそうです。現場に居合わせた議員の話ではこの日、犯人は50発から100発の弾丸を発射していたとのことで、スカリス議員もまた被弾してけがをしています。しかしながら容体は安定しており、回復する見込みだそうで――さて、この議員さん、今後自分が黒人の既婚レズビアンに助けられたことをどう受け止めるんでしょうね?
グライナーさんのヒロイックな行動を受けて、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム(Gavin Newsom)副知事がこんなツイートをしているところも面白かったです。
An LGBT member of the Capitol Police helped save the life of an anti-marriage equality Congressman yesterday.
— Gavin Newsom (@GavinNewsom) 2017年6月15日
What did you do, sir? https://t.co/7PBTy6wi4C
訳:「合衆国議会警察の、LGBTコミュニティのメンバーが昨日、婚姻の平等に反対する下院議員の命を救いました。あなたは何をしたのですか、サー?」。
これにはちょっと解説が必要かも。ニューサム副知事がツイートに貼っているニュースは、共和党寄りのFOXのコメンテイターが、6月12日にニューヨークでおこなわれたナイトクラブ「パルス」の銃撃事件の追悼式を「極左の銃反対派」の「ラディカルなイデオロギー」などという形容であげつらい、追悼式の出席者の中には銃規制を推進したがっている者がいると不満を述べたというもの。このコメンテイター、チャドウィック・ムーア(Chadwick Moore)氏の意見では、「ほとんどの同性愛者はポリティカルではなく、ポップ音楽と浜辺に行くことしか関心がない」のだそうですよ。そのわずか2日後、銃を持ったレズビアンの警官がFOXニュース好みの(そしてアンチゲイでレイシストの)共和党議員の命を救ったとは、なんという皮肉かというわけ。
ちなみにこのムーア氏もまたゲイなのだそうですが、ニューサム副知事のこのツイートに対しては、切れ味の鈍い負け惜しみのようなツイートしか返せていないようです。何はともあれ、負傷したグライナーさんの一日も早い回復を祈ります。彼女こそヒーロー。