カナダで同性愛が違法とされ、同性愛者が魔女狩りのように狩られていた40年間について描くドキュメンタリー映画『The Fruit Machine』のトレイラーが公開されました。
詳細は以下。
The Fruit Machine: New Film Details Canada's 40 Year Anti-Gay Witch Hunt - TRAILER - Towleroad
トレイラーはこちら。
今でこそ「世界でもっともLGBTフレンドリーな国ランキング」的なものの常連たるカナダですが、50年代から90年代初期にかけては、同性愛者や両性愛者の公務員は解雇の対象とされていました。当時のカナダ政府はゲイやバイセクシュアルは「ソ連の脅迫を受けやすい」と信じ、魔女狩りのように監視や尋問をして、彼らを公職から追放したり、起訴したり、投獄したりしていたんです。
おりしも先日トルドー首相がそのことについて公式に謝罪-し、世界から喝采を浴びたばかりなんですが……このトレイラーに出てくる「ゲイ・パージ」サバイバーの皆さんの体験談を聞いてみて、正直「あの謝罪ですらまだ甘い」と思いました。だって、怖いのよ! ある日突然こんな風に連れ去られて尋問されるのよ!(以下、トレイラー内に出てくることばの拙訳です)
- 「同性愛者であってはならなかったんです」「最悪のことだとされていた」
- 「教室で座っていたら、誰かがドアをノックして」「ついてこいと言われました。それで、彼らについて外に出ました」「『車に乗れ』。ドアがばたんと閉まり、男たちは前の席に座って運転し始めました」
- 「ドアを開けたら男が2人立っていました。それから質問をされました。彼らはわたしに目隠ししました。小屋に連れていかれました。今でもあれがどこだったのかわからない……」
きりがないのでこのへんにしておきますが、トレイラー後半で「自尊心をずたずたにされた」と涙ぐむお年寄りの姿は、まことに胸ふたがるものがあります。あのカナダでもそんなだったのか……。
ちなみにAdvocateによれば、こうした「魔女狩り」は多くの人の生活をめちゃめちゃにしてしまうのみならず、自殺者も生み出していたとのこと。女性の中には、「異性愛者に『治す』」という名目でレイプされた人もいたそうです。つまり、今ウガンダや南アフリカでおこなわれていて、「先進国」の人々が残酷だの何だのと批判しているようなことが、ほんのちょっと前のカナダでも起こっていたわけ。だからこそ現在のカナダがそこから今までの歩みを誇りにしているのだということが、このトレイラーを見て以前より腑に落ちた気がします。
IMDbによると、本作品は2018年公開予定だそうです。