石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

Google Doodleのマヤ・アンジェロウ朗読にラヴァーン・コックス参加

And Still I Rise

2018年4月4日、Googleが米国の黒人女性詩人マヤ・アンジェロウ(Maya Angelou)の生誕90周年を祝すDoodle(特別な日を祝うためのGoogleのロゴマーク)を発表しました。代表作の朗読に、ラヴァーン・コックス(Laverne Cox)が加わっています。

詳細は以下。(リンク先で日本語字幕つきのDoodleが見られます)

マヤ アンジェロウ生誕 90 周年

日本語字幕なしの動画はこちら。

このDoodleの動画は、アンジェロウの代表作"Still I Rise"を本人を含む計7人の読み手が朗読し、それにあわせて詩句をカラフルなアートとともに表示していくというもの。読み手を登場順に並べると、こんなです。

  • マヤ・アンジェロウ博士(小説家・詩人・劇作家)
  • アリシア・キーズ(歌手)
  • アメリカ・フェレーラ(女優)
  • マヤ・アンジェロウ博士
  • マルティナ・マクブライド(シンガーソングライター)
  • ガイ・ジョンソン(著作家、マヤ・アンジェロウの息子)
  • ラヴァーン・コックス(女優、プロデューサー、トランスジェンダーの人権擁護者)
  • オプラ・ウィンフリー(TVタレント、女優)
  • マヤ・アンジェロウ博士

そして、ラヴァーンの朗読している箇所はこちら(日本語訳はGoogle Doodleアーカイブの字幕より引用)。

私が魅力的だから動揺した?
意外だったかしら?
私が踊っているなんて
まるで太ももにダイヤをはさんでいるようにね

Does my sexiness upset you?
Does it come as a surprise
That I dance like I’ve got diamonds
At the meeting of my thighs?

いいねえ。ちょっと前にティーン・ヴォーグで、13歳のトランスジェンダーの女の子が書いた「なぜトランスジェンダーの可視性がわたしにとって大切なのか(Why Transgender Visibility Matters to Me)」という文章に胸打たれたばかりだから、余計に染みるわ。この女の子、ステラ・キーティング(Stella Keating)さんは歴史と政治に興味があり、将来は政治家になりたいと思っているのに、これまで読んだ歴史の本の中でも、現実の政界でも、自分のようなトランスジェンダーの政治家を見たことがなかったんだって。でも去年、米国で8人ものトランスジェンダーの人々が選挙で選ばれるのを目にして、こう思ったんだって(以下ティーン・ヴォーグより引用)。

あたりまえの日常生活の中で自分自身の姿を目にすることができるということが、わたしの価値や可能性を認めてくれました。ミネアポリス市議のアンドレア・ジェンキンスやフィリペ・カニンガムや、バージニア州議会議員のダニカ・ロウムのような『こうなれるかもしれないというお手本』のおかげで、自分はひとりぼっちではないということがわかるのです。

Seeing myself in everyday life validated my worth and capabilities. I know I am not alone because of “possibility models” like Minneapolis City Council Members Andrea Jenkins and Phillipe Cunningham and Virginia Delegate Danica Roem.

トランスの可視性は大切です。可視性が障壁を取り除くのです。わたしには将来の目標がとてもたくさんありますが、わたしはまた、自分たち若者の時代はこれから来るのではなく、今がその時代なのだということも知っています。わたしは今や、目に見える存在たりうるのです。

Trans visibility matters. It helps eliminate barriers. And while I have so many goals for my future, I also know that our time as young people isn’t tomorrow, it’s today. I can be visible now.

別に政治家志望じゃなくたって、マイノリティの子供が自分と同じような人が社会の中であたりまえに能力を発揮して活躍している姿を目にするのはとても大切なことだと思います。「保毛尾田保毛男」(古いな)や「相良直美『レズ』疑惑事件」(さらに古いな)以外に同性愛者のモデルらしいモデルがなくていらん苦労をしてきたゲイやレズビアンだって、思いは一緒よ。Googleがわざわざラヴァーンを特別視して「さあさあここは『トランスジェンダーの』女優が朗読してますよう!」みたいな説明をつけたりせず、単に彼女を「マヤ・アンジェロウがインスパイアしてきた人、彼女のレガシーを指針として生きたいと熱望している人」のひとりとして朗読チームに含めているところが、さらに良いと思いました。こういう企画がどんどん増えていってほしいと思います。

And Still I Rise

And Still I Rise