2018年6月4日、米連邦最高裁が、同性婚ケーキの受注を拒否したコロラド店のケーキ店を支持する判決を下しました。これを「キリスト教の勝利」と受け取ったテネシー州の金物店が、さっそく店頭に「ゲイお断り」の張り紙を出したそうです。
詳細は以下。
Tennessee store puts 'No Gays Allowed' sign back up after Supreme Court cake ruling | TheHill
Fact Check: Did a Tennessee hardware store put up a "no gays allowed" sign?
— snopes.com (@snopes) 2018年6月7日
Full Report: https://t.co/kzJjM4MR58 #FactCheck #NoGaysAllowed pic.twitter.com/Wp7uliTIJx
この金物店は同州グレンジャー郡にある「アミックス金物&屋根ふき材店」(Amyx Hardware & Roofing Supplies)。名前と店主に見覚えがあると思ったら、2015年に全米で同性婚が認められた後にも同様の看板を出し、バックラッシュを受けて引っ込めていた店なんでした。アミックス氏は地元メディアの取材に対し、コロラド州のケーキ店の勝訴はキリスト教の勝利だという見解を示したとのこと。氏の考えでは、現在の米国ではキリスト教が攻撃されており、そこに一筋の光明が差し込んだところなのだそうです。
しかし、先日のエントリ「米連邦最高裁が『マスターピース・ケーキショップ』支持 - 石壁に百合の花咲く」でも書きましたが、今回の連邦最高裁の判断はこのケーキ店に対する州人権委員会の対応が敵意に満ちていて、それが憲法が保証するところの信教の自由に反していたため、同委員会がケーキ店に対して出していた命令は破棄とするというもの。あくまでこの個別のケースでの人権委員会の手続きが違憲だったとしただけで、クリスチャンのビジネスオーナーがゲイへのサービスを拒否すること全般を合憲とする判断を示したわけではないんです。判決文にも、このケーキ店以外のケースについては法廷でさらに精密に吟味しなければ結論は出せないと書かれています。にもかかわらずさっそくインディアナポリスのクロスフィットジムが「LGBTのワークアウトお断り」と言い出したと思ったら、今度はテネシーの金物屋ですか。うんざり。
なお、同性カップルへのケーキ販売拒否や、この金物店のようなゲイ全面お断りについて単純に「店主がクリスチャンなら認められて当然」のようにおっしゃっておられる方は、おそらく聖書をお読みになったことがないのだと思います。せめて「アメリカでいちばん善良なクリスチャン(America's Best Christian)」ことMrs. Betty Bowersによる以下の説明ぐらいお読みになってはいかがでしょうか。「クリスチャンなら仕方ない」、「教義にあるから仕方ない」という理屈で何でも認められるのだとしたら、これ全部合法にしなきゃいけないんだけど?
RELIGIOUS FREEDOM: The last gimmick in your bag of tricks if America becomes more enlightened than your god #KimDavis pic.twitter.com/xBDpqV8sI0
— Mrs. Betty Bowers (@BettyBowers) 2015年9月2日
と思ったら、今回の件でもMrs. Betty Bowers本人がさっそくツイートしてましたね。もう本当に、ここに書いてある通りだわ。
Definition of #ReligiousFreedom: "Pretending to follow a religion you ignore so you can be an asshole to people you hate, and then blame Jesus." pic.twitter.com/zHHLnKZYq6
— Mrs. Betty Bowers (@BettyBowers) 2018年6月9日