「スペイン極右政党プレゼンツの『LGBTのオバケ』、ゲイ・プライドのアイコンと化す」の続報。極右政党が自分らを『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルンに見立てたのは「かなり無知」なことだと、アラゴルン役の俳優ヴィゴ・モーテンセン(Viggo Mortensen)が発言しました。
詳細は以下。
スペインの新興極右政党、ボックス(VOX)は、2019年4月28日の総選挙に向けたキャンペーンの一環として、『ロード・オブ・ザ・リング』の一場面を無断使用したコラ画像をTwitterに投稿していました。コラージュの内容は、悪役サウロンの軍勢の上にLGBTのオバケ、フェミニストのアイコン、「エル・パイス」紙などを貼り付け、彼らに立ち向かおうとしているアラゴルンの背中にスペイン国旗とボックスのロゴをあしらうというもの。実際のツイートは以下をどうぞ。
⚔🇪🇸 ¡Qué comience la batalla! #PorEspaña pic.twitter.com/TVgdcP1Kw5
— VOX 🇪🇸 (@vox_es) 2019年4月28日
EL PAÍSによると、映画でアラゴルンの役を演じた俳優のヴィゴ・モーテンセンは、このことについて同紙宛ての手紙でこんな風にコメントしたのだそうです。
「かなり無知な人でなければ、映画『ロード・オブ・ザ・リング』三部作のアラゴルンというキャラクターをボックスのような外国人嫌悪の極右政党のキャンペーンに使うのがいい考えだなどととは思わないことでしょう」
You’d have to be pretty ignorant to think that using the character Aragorn from the Lord of the Rings film trilogy to promote the campaign of a xenophobic, far-right party like Vox would be a good idea.
モーテンセンの意見では、世界中の豊かな文化と言語に興味を持っている自分のような人間を国粋主義者でネオ・ファシストの党と結びつけることも「ばかげている」し、彼らがアラゴルンを使うのは「さらにばかばかしい」とのこと。アラゴルンは「多言語話者のりっぱな政治家で、中つ国の異なる種族、伝統、言語の包摂を提唱する」人なのに、そんなキャラを「反移民、反フェミニストでイスラム嫌悪の政党」の正当化に使うのはおかしいというのが彼の見解です。
でも、モーテンセンの手紙で一番大事なのは、この最後のパラグラフだと思います。
彼らの不手際を笑うこともできますが、ボックスはスペインの国政で24議席を獲得しています。これは笑いごとではないし、わたしたちは油断なく警戒して先を見越した行動をとらなければならなくなるでしょう。トールキンのサーガのにおけるアラゴルンのように。
I would laugh at their ineptitude but Vox has entered Spain’s Congress with 24 seats; it’s no joke, and we will have to be alert and proactive, like Aragorn in the Tolkien saga.
そう、ボックスは著作権違反のあんなツイートをしていたにもかかわらず、総選挙で初の国政進出を果たしちゃったんです。詳しくは以下を。
「異なる種族、伝統、言語の包摂」を支持する側が、”This day we fight!!”と叫んでがんばるしかないよね、もう。