米NYの地下鉄で、パンセクシュアルなどが描かれた広告ポスターを乗客のひとりが次々に破くという事件が発生。広告主の「OKキューピッド」がコメントを発表しています。
まず、ポスターが破かれているところの動画をどうぞ。
Woman rips down "inclusive" OKCupid ads in New York City subway, says they are "propaganda." pic.twitter.com/c0bfwZJa5L
— The Post Millennial (@TPostMillennial) September 23, 2021
車両の壁からポスターをむしり取っている人物が、「これはプロパガンダだ」「次世代に影響する」「むかつく」「ジーザス」「気持ち悪い」とかなんとか言っているのが聞き取れます。破かれたポスターのデザイン(の一部)はこんなです。
OkCupid is back at it with its recognizable mix of wordplay and candy-colored pop photography, but this time it’s emphatically aiming at inclusion. https://t.co/J5XLPXmesU pic.twitter.com/xkdEfdLyPx
— Adweek (@Adweek) August 2, 2021
このポスターは、出会いサイト「OKキューピッド」の"Every Single Person"(直訳すると『ありとあらゆる人』)というキャンペーンの一環として貼られていたもの。OKキューピッドはこのキャンペーンで、同社のアプリは「ありとあらゆる人のための」ものだとして、ありとあらゆるパンセクシュアル/ロマンチスト/ノンバイナリー/モノガミスト/ノンモノガミスト/ワクチンを打った人/熊/本の虫/おしゃべり好き/ベジタリアン等々をデザインした広告をシカゴ、LA、NYに出していました。で、そのうちNYの地下鉄に貼られたポスターが上の動画のような被害に遭ったというわけ。
興味深いことに、このポスター破り魔(と動画を撮った人)、明らかに破るデザインを意図的に選んでますよね。同性同士に見えるカップルが登場する「パンセクシュアル」と、リンゴに指を突っ込む写真をあしらった「本の虫」はわざわざ大写しにしてから破いている一方で、「ロマンチスト」のデザインは「あれはとてもいい、ねえ、これ見て。『ロマンチスト』(That's pretty good. Look at this one, "romantic".)」とか言って褒めさえしてるんだもん。わかりやすいホモフォビアと純潔主義よね。
さて、この一件に対するOKキューピッドのCMO、メリッサ・ホブリー(Melissa Hobley)氏の反応はこちら。
In light of the recent homophobic rant sparked by our ad campaign celebrating all kinds of people and all kinds of LOVE, @okcupid is making an even bigger commitment to be inclusive. So thanks for the craziness.
— Melissa Hobley (@MelissaHobleyNY) September 24, 2021
Also, put on a mask. You owe the @MTA $50.
大雑把な訳:
あらゆる人とあらゆる愛をたたえる我が社の広告が最近巻き起こしたホモフォビックな騒ぎを考慮に入れ、 @okcupidはなお一層インクルーシヴになることを確約します。イカレ騒ぎをどうもありがとう。
あと、マスクしなさいよ。アンタMTA(ニューヨーク州都市交通局)に罰金50ドル払う義務があるわよ。
In light of the recent homophobic rant sparked by our ad campaign celebrating all kinds of people and all kinds of LOVE, @okcupid is making an even bigger commitment to be inclusive. So thanks for the craziness.
Also, put on a mask. You owe the @MTA $50.
ホブリー氏はPR Weekのインタビューでもインクルージョンの大切さを強調し、さらに、「広告が破られたことぐらいは問題なく対処できるけれど、よくないのは彼女がした発言と、公共物を破壊するということ」とも言っています。Z世代(1997~2002年生まれ)の6人に1人がヘテロ以外のアイデンティティーを持つと言われる今、社としてこういう姿勢を示すのは戦略として正しいよね。昨今の米国、テキサス州をはじめとしてリアル『侍女の物語』になっちゃってるので、たとえ銭目当てでもこうやってインクルージョン支持を明言してくれるのは嬉しいわ。どんどん言ってくれ。