石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

移民トランスジェンダー児童(12歳)がいじめられ自死 スペイン・カタルーニャ州

Acoso en la Escuela, ¡no!

hispanicla.com

スペイン・カタルーニャ州にある人口約6000人の町サジェン(Sallent)で、アルゼンチン移民の12歳のふたごがいじめを理由に自死をはかり、ひとりが死亡。もうひとりは重傷を負いました。亡くなったイバン(Iván)*1さんはトランスジェンダーで、ことばの違いのほか、性的アイデンティティーを理由とするいじめにも遭っていたとのこと。

亡くなったイバンさんとふたごのきょうだいのレイラ(Leira)さんが自死をはかったのは、2023年2月21日の午後3時。ふたりが両親と弟ともどもアルゼンチンから移民してきてから、まだ2年も経っていませんでした。

ふたりが通っていた学校、instituto Llobregat de Sallentのある女子生徒はスペイン語圏のメディアの取材に対し、主に3人の男子がいじめを煽って、集団でイバンさんたちを「アルゼンチン人」と呼んたり、ふたりのアクセントやイバンさんの性的アイデンティティーをばかにしたりしていたと言っているとのこと。いじめグループはイバンさんらを取り囲んで殴ったりもしていたのですが、学校はいじめを認識していたにもかかわらず、いじめっ子に立ち向かって身を守ろうとしたふたごの方を非難したり罰したりして終わりだったんだそうです。

以下、ふたりの遺書からちょっと邦訳してみます。まず、イバンさんの方。

「学校でいじめられるのに疲れました、もう耐えられません。幸せになりたいけど、この先一生苦しむことは明らかなので、もう続けるのをやめる決心をしました」

“Estoy cansada de que me hagan bullying en la escuela, no lo soporto. Yo quiero ser feliz, pero evidentemente yo esto lo voy a sufrir el resto de mi vida y tomé la decisión de no seguir’’

続いて、レイラさんの方。

「みんな、ごめんなさい。わたしがきょうだいを愛していることは、みんな知っていると思います。わたしは彼女を苦しめるいじめのすべてを見ました。彼女が決めたことをします。彼女が行きたいところに一緒に行きます」

“Disculpas a todos. Ustedes saben lo que yo amo a mi hermana. Yo vi todo el bullying que sufre ella. Voy a hacer lo que ella decida. La voy a acompañar a donde ella quiere”

一命をとりとめたレイラさんは、3月16日付の報道で、「人工呼吸器が外され、意識が戻って、両親を認識できている」が「まだきょうだいの死については知らされていない」と伝えられています。ふたごがいじめられていた学校のJosep Olivella校長は、3月14日に辞職。イバンさんの元クラスメイトたちは学校の机に「イバン、大好きだよ」、「きみがいないと寂しくなるよ」、「安らかに眠って」などのキレイなメッセージをぎっしり書き込んでいるとのこと。……生きてる間に言ってやれよ、そういうことは。校長も生きてる間に責任とれよ、死んでからじゃなく。

排外主義やトランスフォビアが世界規模で広がっている今、著名人らの「マイノリティの権利を認めたらこんな怖いことが起こる!」的な妄想ベースの発言はさんざん報道される一方で、この事件みたいな、現実世界で本当に起こっているひどいことはろくに伝えられてないとあたしは思います。せめてうちのブログを読んでる人には知ってほしい、移民いじめとトランスいじめのせいで、12歳のこどもが亡くなったんだよ。こんなこと終わりにしなきゃ駄目だよ。

*1:Vanguardiaによると、イバンという名前は本人が亡くなる3週間前に自分で決めて、レイラさんや友達に伝えたもので、学校ではそれを理由とするいじめにも遭っていたようです。両親は「イバンと名乗ってはいなかった、あの子の名はアラナ(Alana)だ」と主張しているとのこと。