石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『落花流水(3)』(真田一輝、芳文社)感想

落花流水 3 (まんがタイムKRコミックス)

落花流水 3 (まんがタイムKRコミックス)

静かに恋が進展中

おなじみ女子校弓道百合4コマ。秋穂の燃える片想いの1巻、そして水夏も好き感情を垣間見せるようになった2巻と続いて、この3巻ではさらにはっきりと水夏から秋穂への気持ちが打ち出されています。典型的なのが巻頭のフルカラー6Pシリアス短編と、海でのエピソード(pp59-66)。どちらも友愛とも解釈し得るマイルドな描写ではありますが、これはこれでひとつの進展かと。特に海でのエピソードのクライマックスシーンなど、ぐっときましたね。

ただし、恋が進展した分だけ秋穂の片想い悶々パワーは減じているわけで、その分鼻血ギャグや狼化ネタも減ってしまっています。1〜2巻での秋穂の「シャイネスと欲望のせめぎあい」によるテンパり状態が好きだった自分としては、そのあたりがちょっと物足りない気がしないでもありません。しかし、よくしたもので、3巻にはその物足りなさを埋める要素もちゃんと存在するんでした。

新キャラふたりは女子カップル

物足りなさを埋める要素、それは新キャラ「綾瀬暁」「五条夕」の女子カップル。幼少期からの知り合い同士とあって、「既に夫婦レベル」(『あとがきより』)のまったりペアではあるのですが、夕に夢中な暁の姿が可愛らしいし、何より巻末に収録されている渾身のシリアス短編がいいんですよ。これは暁と夕の過去話なのですが、これ1編だけ切り取っても単独の切ない百合話としてしっかり機能していると思います。

きわどいシーンについて

どちらのカップルの恋も基本的にはきわめて健全ですが、アクシデンタルなキスシーンや、

夕「私はただあーちゃんのおっぱいを吸ってあげようとしただけで……」

というセンシュアルな扉絵(p75)など、きわどいシーンがけっこう多かったかと。特に後者は、暁の貧乳もあいまって余計にエロく、間違ってなんか別の漫画を開いちゃったかと焦ってしまうぐらいでした。誠にけしからんのでもっとやってください。

まとめ

秋穂と水夏の恋がごくゆっくりと進展する反面、欲望みなぎる鼻血ギャグや狼化ギャグが減っているのがちょっとさみしいところ。しかし、その分暁と夕の新カップルや、巻頭と巻末のシリアス短編などが非常によくがんばっており、トータルするととても楽しい1冊でした。きわどいシーンの数々も、エロいのにあざとくなくてよかったです。個人的にはあまりにもリリカルな恋模様「だけ」に突き進まれるときついなーと思ってしまう方なので、今後も今ぐらいのギャグとシリアスのバランスを保ってもらえると嬉しいです。