石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

「同性愛者を異性愛者に『転向』させる治療は無意味」専門家が指摘

Ex-gay? No way, the experts agree | delawareonline | The News Journal

同性愛者を異性愛者に「転向」または「回復」させるという触れ込みの"Ex-gay"と呼ばれる治療(嫌悪療法やカウンセリング、祈りなどで同性愛を『治す』とされています)に対し、医学や精神医学、そして心理学の専門家が「そうした『治療』では性的指向は変えられず、むしろクライアントに害を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らしているというニュース。

まず、米国医師会の意見。

同性愛者の、性的指向に関連した情緒障害の多くは、(訳注:性的指向そのものより)周囲に受け入れられずに孤立感をおぼえることによって引き起こされる。この理由から、嫌悪療法は推奨できない。

続いて、米国精神医学会の意見。

性的指向を変えることに特化した治療は避けるべきだ。そのような治療が性的指向を変え得る見込みはほとんど、もしくは全くない上に、自責の念や不安を引き起こしかねないからだ。

さらに、米国心理学会の意見。

性的指向を変える治療としての「回復療法(reparative therapy)」の有効性を支持するような科学的根拠は、ひとつも発表されていない。「回復療法」は抑鬱や不安や自殺などを引き起こす可能性があり、重大な危険性をはらんでいる。

ちなみにこれとは別のこちらのニュースでも、ロンドン大学のKing教授が「ホモセクシュアルな感情を治療しようという試みが有効だとする根拠はほとんどない。実のところ、そういった試みは有害である可能性がある」と述べています。日本ではいまだに「同性愛は病気だから治すべき」とか口走っちゃうストレートをよく見かけますが、そんなわけで性的指向はそうそう簡単に「治せ」るもんではないらしいですよ。

ちなみに、だからと言ってあたしは、「性的指向は変えられないんだから同性愛を認めろ」と主張するつもりはありませんよ、念のため。「治せないんだから仕方ない」っていうのは、結局、「治せるものなら治すべき」っていうヘテロセクシズムの裏返しなわけでしょう。そんなの、不妊症の女性に「可能性があるなら何が何でも治療して出産しろ」って強要するのと同じくらい気持ち悪いわ。可変だろうと不可変だろうと、人の「性」のありように外野が勝手に「ああすべき、こうすべき」と口出しするのはおかしいと思うし、あたしが"Ex-gay"が嫌いなのは、主にそういう理由からです。いや、いんちき医療で同性愛者にいらん苦しみを押しつけることとかも、もちろん気に入らないんですけどね。

ちなみに"Ex-gay"派の聖職者("Ex-gay"は主に宗教的な動機で運営されているムーブメントです)たちは、こうした専門家からの批判に対し、「"Ex-gay"における成功とは『性的指向を変えること』ではなく、『ホモセクシュアルな衝動を抑えること』だからいいんだ」と苦しい言い訳をしているとのこと。だからさー、そうやって抑圧を強いることが、自責の念だの抑鬱だの自殺だのを引き起こしうるって警告されてることになぜ気づかないの。というわけで、こんなエヴィデンス皆無な「治療」は早くなくなってくれるといいなと思います。