石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

両親から勘当されたゲイ大学生、クラウドファンディングで学費6万ドルを集める

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大学でダンスを学んでいる18歳のゲイ男性が、両親から性的指向の「治療」を強要されたのち家を追い出されたと主張しています。学費も打ち切られて退学の危機に陥ったという彼に、クラウドファンディングを通じて6万ドル以上の支援が寄せられました。

詳細は以下。

Online campaign raises thousands for gay Oklahoma City University student | News OK

この学生は米国オクラホマ大学1年生のジョエル・アンドリュー(Joel Andrew)さん。12歳のとき親にカミングアウトし、ゲイを「治療する」というふれこみのセラピーに毎週通わされました。この手のセラピーはほとんどが宗教的なもので科学的根拠はなく、むしろ害の方が大きいとして批判されています。くわしくは以下を。

アンドリューさんもゲイが「治る」ようにと何時間もお祈りをさせられたものの、もちろんそれで性的指向が変わることはありませんでした。両親は、大学進学後にボーイフレンドができたアンドリューさんを家から追い出し、うちの名字を名乗るなとさえ申し渡したとのこと。仕送りを打ち切られたアンドリューさんは、このままだと授業料が払えず退学せざるを得ない事態に陥りました。

ここまでだけなら非常によくある話。アンドリューさんの場合、少し違うのは、彼の学費集めを支援しようと友達がGoFundMeでクラウドファンディングを始め、それが思わぬ大成功をおさめたこと。目標額は次の学期の授業料6500ドルだったのに、ゲイのコラムニストのダン・サベージ(Dan Savage)氏の協力もあり、6万ドル以上ものお金が集まったんです。これは、卒業までの学費が全額払えてしまうぐらいの金額。アンドリューさんはGoFundMeのページで感謝のことばを述べ、「このチャンスを生かすため最大限の努力をする」、「いつかブロードウェイで皆さんとお会いできたら嬉しい」と書いています。

ちなみにアンドリューさんのご両親は、息子を強制的に追い出したり、ダンスのキャリアを邪魔したりした事実はないと主張しているそうです。名字の使用に関しては、プライバシーを保つため実名を使わないよう提案したのだというのが彼らの見解。しかしながら彼らは、息子が男性とデートすることに反対したかどうかについてはコメントしていないとのこと。

大学と両親の両方を調べてからクラウドファンディングに協力したというダン・サベージ氏は、アンドリューさんのようなケースは珍しくないと言っています。同性愛者だからという理由で家を追い出されたり、学費が払えなくなったりする子は毎年何千人もいるのだと。

「世の中にはたくさんのジョエルがいるのです」と彼は言った。

“There are a lot of Joels out there," he said.

これは日本でもそうです。自分の知り合いにも、早くて中学卒業ぐらいで家を出て(追い出されて)そのまま戻っていないというLGBTは何人もいます。年齢をごまかしてゲイバーやニューハーフバーで働いたり、売り専をやったりして生き延びた人も少なくありません。10代にしてこのような生き方を余儀なくされると、教育を受ける機会を失うばかりか、危険な目に遭う可能性も高まります。今回アンドリューさんのもとにこれだけの支援が集まったのも、親から捨てられたLGBTティーンにふりかかるリスクを多くの人が知っているからなのでは。「たくさんのジョエル」を救うためのセーフティネットを、今後大人がもっと充実させていく必要があると思います。