2023年2月17日、米ユタ州上院が、医療の有資格者が未成年者に対しコンバージョン・セラピー(性的指向やジェンダー・アイデンティティーを変えることを意図した、科学的根拠がなく有害な行為・処置)を実施することを禁ずる法案(House Bill 228)を可決。これにより、(いくつかの例外措置はあるものの、)違反者は最高1年の懲役および2500ドルの罰金を科され得るようになるとのこと。
あのユタ州で。2008年に大量の資金をつぎこんでカリフォルニア州の同性婚を潰したモルモン教会の総本山、ユタ州で。大学に「同性同士の交際禁止」というルールがあったり、10代のゲイカップルが「うちの街でゲイなんか見たくない」と殴られて病院送りにされたりしてるユタ州で。そしてつい先日、トランス・キッズへの二次性徴抑制療法や性ホルモン療法が禁止されてしまったばかりのユタ州で!
もう本当にびっくり。とりあえず、ことコンバージョン・セラピーに関しては、政治が宗教的なトンチキに押し流されなかったってことなのかしら。なお同州のLGBTQ団体Equality Utahは、この法案可決を「ユタのLGBTQの歴史における驚くべき瞬間」と喜ぶ声明を出しています。
HB 228 🏳️🌈 a ban on conversion therapy unanimously passes the final Senate vote! 🏳️⚧️ #EqualityUtah #Utpol #Utleg #lgbtq #conversiontherapy pic.twitter.com/UMxuHB1xs0
— Equality Utah (@EqualityUtah) February 17, 2023
参考:コンバージョン・セラピーとは?
コンバージョン・セラピーで「治療」と称してどんなひどいことがおこなわれるかについては、上記のHB228で「具体的にこういうことを未成年にやったら違法」と説明している部分がわかりやすいと思いました。箇条書きにしてまとめると、以下のような行為です。
- 吐き気、嘔吐その他不快な身体的感覚を生じさせる嫌悪療法
- 電撃けいれん療法または経頭蓋磁気刺激を含む、電気ショックまたはその他の電気療法
- 治療の一環として自慰をさせる、または自分以外の人の体を触らせる
- 自傷行為、またはみずから自分に苦痛を加える行為
書いててだんだん嫌になってきますが、これ全部、歴史的にゲイやレズビアンやトランスピープルがやられてきたことですからね。なお専門家の見解や、経験者の談話は以下をどうぞ。
front-row.jp
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www.cosmopolitan.com
www.huffingtonpost.jp
一方その頃日本では
既に報じられている通り、自民党議連で、同性愛は「精神の障害、または依存症」「回復治療の効果が期待できる」などとする非科学的な記述のある文書が配布されてるんですよね日本。
いったい何周周回遅れなんだよわが国。少なくとも疾病概念やコンバージョン・セラピーに関してはユタ州より遅れてるってことが、これで確定しちゃったわけですが。