石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『クイーンズブレイド -Hide&Seek- (3) 』(南崎いく、角川書店)感想

クイーンズブレイド -Hide&Seek- (3) (角川コミックス・エース 201-3)

クイーンズブレイド -Hide&Seek- (3) (角川コミックス・エース 201-3)

エリナとレイナの対峙が白眉。偏見は減少

女王の座をかけた戦い「クイーンズブレイド」に出場する女闘士たちのアクションファンタジー、第3巻。1〜2巻と違い、レズビアニズムへの偏見色はずいぶんと薄くなっています。あと、エリナとレイナの姉妹がついに邂逅するシークエンスに、並みの姉妹百合とはまた違うひねりがきいていて面白かったです。

今回は偏見ナシ

もうナシって言っちゃっていいんじゃないかなこれは。蛇女ことエキドナさんこそ相変わらずですが、それもあくまでエキドナ本人の個性と受け取れる範疇の描き方だと思います。ちなみに今回はエキドナというキャラ自体、平板な「変態」役を務めて終わりではなく、意外に深い洞察力やここ一番での容赦のなさ、懐の深さなんかもたっぷり見せつけていて面白いんですよ。女性が好きな女性キャラが性的な面「だけ」で描写されていないこと、そしてヘテロ同士をあざとく絡ませたり、いちいちそこでホモセクシュアル・パニックを起こさせたりしていないことがたいへんありがたかったです。

姉妹百合も新鮮

単なるきゃるんきゃるんした「憧れのお姉様」路線にとどまっていないところが目新しかったです。レイナと邂逅したエリナの激情とヤンデレ化なんて、マンガチックではあるけれども、すごーく感情面でのリアリティがあると思うんですよ。レイナの側の決意や痛みについても同様。テンプレ通りの「シスコン」だの「お姉様LOVE」だのの枠にとどまらない、血肉を持った人間同士のぶつかり合いという感じがよかったです。ちなみに長姉クローデットにいろいろと含みがありそうなところも興味深く、今後の展開が気になります。

その他

  • ユーミルがコメディリリーフとしても職人としても、そしていちファイターとしてもいい味出してます。ただし今回、おもらしネタはなし。
    • 鋼鉄山とヴァンス家の関係など、今後のストーリーに絡んできそうな部分も興味深いです。
  • 画面のごちゃごちゃ感はだいぶ緩和されたような。
    • でも、キャラの見分けにはちょっと慣れが必要。顔よりも装備で見分けるのがコツか。
  • ようやくクイーンズブレイド第1戦の情報が入ってきたりして、ストーリーが進み始めた模様。

まとめ

1〜2巻とは違い、わざとらしくヘテロ女性同士を絡ませるとか、レズビアンキャラを単なる淫乱レイピスト扱いして終わってしまうような展開はほとんどありません(いやエキドナは相変わらずアレなんですが、アレな面だけじゃないってところがポイントなんですよ!)。そんなわけで、今回はかなり安心して読めました。ヴァンス3姉妹の愛憎の描き方もこまやかでよかったし、お話がようやくクイーンズブレイド開催にまで漕ぎつけそうなところにもひと安心。今後もこの路線で突き進んで行ってくれるといいなあ。