石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『まんがの作り方(6)』(平尾アウリ、徳間書店)感想

まんがの作り方 (6) リュウコミックス

まんがの作り方 (6) リュウコミックス

淡々ギャグと淡々展開の巻

漫画家同士の百合ラブコメ、第6巻。川口と森下はそれなりに遠距離恋愛を継続中。デビューできない武田が一人暮らしを考え始める一方、森下は生涯初のスランプに。淡々としたギャグも恋模様も、きゅうりのようにクール。

淡々ギャグいろいろ

6巻でもっともウケたのは、ペンだこを痛がる川口が見た森下の幻覚(p. 30)。

そういう時は冷やすのが効きますよ ほらキンキンに冷えたきゅうりを握ればだいぶ楽になりませんか?

なぜ氷でも保冷剤でもなく、きゅうり。そこできゅうりを握って「本当だ」と驚く川口もどうかと思うのですが、きゅうりを握っていてはペンが持てないという問題について、

きゅうりの方にペン先を刺せばいいんですよ

と微笑む森下(の幻覚)は、もっとどうかと。もともと体温低めのとぼけたギャグが多い漫画なので、このきゅうりギャグは妙に象徴的だと思いました。

6巻で他におもしろかったところは以下など。

  • ADみたいでオシャレでしょう?(p. 16)
  • 私は貝になりたい 時々カニなどをくわえたりして(p. 20)
  • これがのちの縄文時代である(p. 100)
  • 眼前がちかちかしてるからちかちかを万華鏡でごまかそうと!?(p. 131)

これらの「本人は真剣なのに何かがズレて変なことになっている」という力の抜けた笑いが、この作品の最大の魅力だと思います。

それなりに恋は続く

今回は比較的、メインカップルのお互いに会いたい気持ちが強く出ています。代表的なのが、第41話の電話での、

川口「会いたいって言え!」

森下「会いたいです!」

という、売り言葉に買い言葉のような会話(p. 39)。

ただし川口さんたら、せっかくのデートに弟の政人を連れて行き、

3人だったらいいんだよね?(引用者注:『森下は、政人が森下のことを好きだと知っているため、政人と2人きりでは会おうとしない。しかし川口も含めて3人だったら会ってくれるだろう』の意)

と言い放つ鈍感っぷり(p. 69)も遺憾なく発揮しています。こういうところを見るにつけ、やはり川口さんにとってはこの関係は恋愛寄りではないのだとあらためて認識させられます。結局、この作品はどこまで行っても「女が好きでもないのに女とつきあってみたヘテロの話」としてフラットに続いて行くんじゃないかなあ。

まとめ

飄々としたギャグは非常によかったです。しかし、「女が好きでもないのに女とつきあってみたヘテロの話」の気配が濃厚なところは共感も想像もしにくく、読んでてちょっと困りました。