石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『バナナのナナ(1)』(鬼八頭かかし、マッグガーデン)感想

バナナのナナ(1) (ブレイドコミックス)

バナナのナナ(1) (ブレイドコミックス)

微百合な異能バトルギャグ漫画

主人公ナナ(ボケ担当)と幼なじみの林檎(ツンデレ担当)が冒険の旅をする異能バトルファンタジー。登場キャラたちの能力とその代償がいちいちおバカで楽しいです。ナナと林檎の友情は百合ともとれますが、ヘテヘテ表現も多めなので、過剰な期待は禁物。

炸裂するバカセンス

「友情と冒険の旅」「能力者同士のバトル」というありがち設定をたぐいまれなるバカセンス(誉め言葉)で料理することで、独自の笑いが生まれています。たとえば、主人公ナナの能力「バナナアラモード」について、本人の説明(pp. 40-41)を聞いてみましょう。

私の能力はバナナアラモード

バナナの形状をちょっと操作出来る
程度の能力だったが……

独自の解釈と訓練で
その能力の幅は広がり
バナナの形はおろか
大きさや重さ
硬さまでも
コントロール
できるようになった

私の持つバナナは
様々な武器へと
変化する!!

そんで巨大バナナの剣とか槍とかで戦うんですよこの人。大真面目に。最高。

どの能力にも代償が必要という設定も面白く、たとえば水の支配能力「水の女神(サラスヴァティー)」を操る高慢キャラ・水上春子が代償として1日20時間風呂に浸かっている(移動は専用の『風呂車』使用)あたりなど、何度見ても笑えます。他に、「メイド」という語の意味が現実と大幅にズレていたり、『リングにかけろ』風のギャグが突然出てきたりと、全般にわたりすっとぼけた笑いが多めなところもとてもよかったです。

これは果たして百合なのか?

この作品がナナと林檎の熱いバディ物であることには間違いないんですが、百合かどうかには解釈の余地がありそう。ナナが林檎のパンチラに興奮したり、メイドキャラ・葡萄を救って決め台詞を吐いたりしているところは確かに百合っぽいものの、その一方で林檎にこんなヘテロノーマティヴな台詞(p. 124)を言わせているんですよねこの漫画。

なによっ 女同士で愛してるとか馬鹿じゃないのっ

さらに、ナナの操るバナナはどう見てもファルスの象徴。ご丁寧にもそのものズバリのフェラチオもどきのコマ(p. 53)や、「皮かぶってるのいやあああっ」などという台詞(p. 56)も出てきます。以上のようなわけで、基本的にこれは「ヘテロ読者に向けた美少女漫画、時々微百合あり」という域を脱していないとあたしは受け取りました。ギャグ漫画としてじゅうぶん面白いので、これはこれで全然ありです。

まとめ

一見よくあるアクションファンタジー、しかしてその実体は独特のおバカ設定が冴えわたる爆笑友情ギャグ漫画。ガチ百合とは言えないし、今後もおそらくそうはならないのでしょうが、これはこれでとても好きです。

追記

ここまで書き終えてから2巻(最終巻)を読みました。まさかの超ガチ百合展開でした。しかもエロあり。詳しくは2巻の感想にて。