石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

米ケンタッキー州下院議員、斜め上の反同性婚法案を提案

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米国ケンタッキー州の議員が、「同性愛者も結婚できるが、『婚姻関係』は異性カップルだけのものとする」という法案を提出しました。早い話が、「婚姻関係」という語を再定義することで、再び異性カップルだけが特権を享受できるようにしようとしてるんです。

詳細は以下。

A Kentucky Lawmaker's Hilariously Stupid Attack On Marriage Equality | ThinkProgress

この「婚姻関係の自由法」("Matrimonial Freedom Act")なる法案を提出したのは共和党のジョゼフ・M・フィッシャー(Joseph M. Fischer)議員。454ページにもおよぶというこの法案の内容をおおまかにまとめると、以下の通り。

  1. 結婚したカップルが異性同士であるときだけ、「婚姻関係」("matrimony")にあると認める。同性同士の結婚では「婚姻関係」とはみなさない
  2. ケンタッキーの現行法で、結婚がもたらす特権や利益や責任について述べている部分を、すべて「結婚」("marriage")から「婚姻関係」("matrimony")に書き換える
  3. 育児や保険等々、現行法で既婚カップルに認められている権利は、すべて「婚姻関係」にあるカップルだけのものとする

よくもまあこんな二重基準を恥ずかしげもなく法案にできたものです。公民権運動から半世紀以上経った今、「『分離すれども平等』は平等ではない」というのはもはや常識だと思ってたんだけど。人種で分けて別々の学校に通わせ、白人の学校でだけいい教育を受けられるようにしていた時代と何も変わらないでしょ、これじゃ。

元記事によれば、アンソニー・ケネディ(Anthony Kennedy)連邦最高裁判事は2015年、同性婚禁止を違憲とした判決で、「問題とされている法(同性婚を禁じる法)は同性カップルの自由に重荷を課すもの」であり、「同性カップルが異性カップルには認められている利益を拒否されている」という理由で不平等だとしているそうです。万一ケンタッキー州議会が今回の「婚姻関係の自由法」を可決したところで(しないとは思いますが)、同じ理屈で合衆国憲法違反とされて終わりでしょうに、何をやってるんだか。

話は飛ぶんですが、アメリカ史を研究している知人から以前、「アメリカの法律名ってのは面白くてね。『外国人土地法』っていうと、外国人の土地所有に関する法律みたいに聞こえるのに、実際には外国人の土地購入を禁止する法。『1924年移民法』も、移民を認める法ではなくて、移民を禁止する法」と聞いたことがあります。その線で行くと、同性カップルの自由にまたしても重荷を押し付けようとする今回の法案がわざわざ「婚姻関係の『自由』法」と名付けられたのも、悪い意味で非常にアメリカ的だと言えるかもしれませんね。さっさと否決されてしまえっ。