石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

子守り姿もクールな女~ドラマ『スーパーガール』S3E11 "Fort Rozz"感想

ポスター/スチール 写真 A4 パターンI スーパーガール 光沢プリント

宇宙でも地球でもガールズ大活躍

レイン/サム(オデット・アナブル)の弱点を知るため、カーラ(メリッサ・ベノイスト*1)は女性だけのチームでフォート・ロズへ。サムは自分の記憶が飛んでいると気づき、街には新たなワールドキラー(?)が。一方アレックス(カイラー・リー)はルビー(エマ・トレンブレイ)の子守り。S3でのアレックスの愛の探求って、そういうことだったの?

アレックスとルビー

けがのため自宅療養中のアレックスは、今回サム/レインの出張中ルビーの子守りを買って出て、ルビーとの絆を深めます。映画『シャイニング』や、S2E3でも活躍したFBIエージェントになりすませるIDカードなどを使ってアレックスのキックアスなベビーシッターぶりを見せていく展開がおもしろいし、そんなアレックスをルビーが大いに気に入っているところも好印象。子供に対する愛情深さや庇護欲や面倒見のよさは、伝統的に「家庭的」とされる女性像にあてはまるかどうかとは無関係だとわかるようになっているところが大変よかったです。

ただ、ここでこういうエピソードを持ってくるということは、今後の展開が、

  1. サム/レインが死に、ルビーをアレックスが引き取る
  2. サム/レインとアレックスが恋に落ち、アレックスがルビーのもう一人のママになる

……の二択になる可能性が高いと思うんですけど、それってどうなの。1だとプロデューサーのグレッグ・バーランティが言っていた「アレックスのロマンティック・ライフを追求したい」という路線からは外れていきそうだし(育児はロマンスじゃないよね)、2にするにはこれまでのサムとアレックスの間の相互交流があまりに少なすぎる気がします。まさか、「クロスオーバー・エピソードでのワンナイト・スタンドだけでロマンスの部は終了。あとは子供さえあてがっとけばよし」って判断じゃないよね? ね?

一方その頃宇宙では

「Y染色体を持つ者には有害な青い星」なる、相変わらずガバガバなSF設定が登場。しかしそのおかげで、女性だけのチームで困難に取り組むという「徹底的にガールパワーの("out-and-out girl-power")」話が成立したところはよかったと思います。シーズン1~2で敵だった女性キャラたちが今回は(いがみ合いながらも)味方として戦うところや、そのうちのひとりが絵にかいたような「落ちぶれてやさぐれたブロンドウェイトレス」として再登場するところなんかも妙にリアルで楽しかった。米国のドラマや映画の定番キャラですよね、ああいうウエイトレスさん。

そのブロンドウェイトレスさんを待ち受けている運命がかなりひどいんだけど、それを通して「悪人とみなされている人の中にも善はあり、連帯して友となることができる」というテーマがほろ苦く描かれているところはいい感じでした。だぶんこれ、スーパーガールとレインの今後の戦いを左右する概念であると同時に、この番組が現在の米国に伝えようとしているメッセージのひとつでもあるはず。

まとめ

アレックスの型破りな子守りっぷりが大変楽しい一方、そのせいでかえって彼女のロマンティック・ライフの行方が心配になる回でした。せっかくゲイ描写で好評を勝ち得た作品なので、今後妙なやっつけ仕事で終わりにされてしまわないことを祈ります。メインプロットの方の全員女性での戦いは、多少大雑把な部分こそあれ、おおむねいい感じでした。

*1:Melissa Benoist、姓は日本では『ブノワ』表記も。