
- 出版社/メーカー: ジェネックス
- 発売日: 2003/06/26
- メディア: Video Game
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システムもそれ以外も難点だらけの恋愛シミュレーション
一部に百合っぽいシークエンスを含む異世界ファンタジー恋愛シミュレーションゲーム。「システムが最悪」という評判を聞いていたので覚悟して臨んだのですが、最悪なのはシステムだけではありませんでした。絵、テキスト、設定、ストーリー、声、それぞれに難点があります。肝心の百合シーンも超薄口で、苦労のわりには報われません。一般ゲーの百合/レズゲーを探すなら、こんなものより『あやかし忍伝 くの一番』やリトルウイッチシリーズをやった方がはるかに良いです。
では、以下にこのゲームの難点を列挙してみます。
1. システム
ゲーム期間が無駄に長い(7ヶ月)上、育成画面のくだらないアニメーションがスキップできないのでしまいには飽きて発狂しそうになります。会話画面でも、既読スキップがないため、同じイベントを何度も何度も見なければならず疲れます。○ボタン連打で飛ばそうとするとうっかり選択肢を押してしまうし、かといってセーブロードは週に1回日曜日の画面でしかできないしで、やり直すのが非常に手間です。 最もひどいのは、パラメータの条件がサディスティックなまでに厳しく、狙ったEDにたどりつくのが異様に難しいこと。「ゲームの難易度が高い」ということと「プレイヤーに無駄な手間を強いる」ということがごっちゃになっているとしか思えません。
2. 絵
一部では絶賛されているようですが、個人的にはあまり好きになれませんでした。人物が妙にひらたくて斜めにかしいでいるような絵……という説明でおわかりいただけるだろうでしょうか。同人くさい絵」と言ってもいいかもしれません。野郎がみんな女々しい顔でキンタマついてなさそうなのも不気味でした。乙女ゲーとはこういうものなのでしょうか。
3. テキスト
国語力のない人が背伸びして格調高い文を書こうとすると失敗するという好例。特に葵の古風な言葉遣い(のつもりで書かれたとおぼしきテキスト)はひどいと思います。「よろしくするがよいぞ」って、何語ですか。アークの「後で後悔させてやるからな!」って台詞も、社内で誰もチェックする人がいなかったんでしょうか。他にも妙な表現が多く、全体的に読みづらかったです。まるで中学生が自己陶酔しながら書いたヘタレファンタジー小説みたいだと感じました。
4. 設定
ウィルソンとかスチュアートとかハリントンとか、妙に英語圏ぽい名前が多すぎような気が。この名前で誰もキリスト教徒じゃないのってむちゃくちゃ違和感あるんですが。英語を使えば異国風になると思っているあたりがやっぱり中学生レベル。
5. ストーリー
やたらと努力の大切さを強調したり、「大地や空を汚す人間は許せない」的な手垢にまみれきったエコロジー演説を連発されたりするのが鬱陶しかったです。どうして異世界モノにまでこういう学級会的正義感を持ち込むんでしょう。
6. 声
これはシナリオの責任でもあるんだけど、マリンが強烈なアニメ声で「はわわ」だの「あうー」だのとしゃべってるのが痛かったです。こういう台詞って、文字で見るだけならまだしも、フルボイスのアニメ声ではっきりくっきり発声されると気持ち悪いと思うんですけど。
まとめ
PS2以外のハードを持っていなくて、時間が有り余っていて、ガキくさい価値観やへたくそな文章にも耐えられる人でないと楽しめないゲームだと思います。ひとことで言うと「お子ちゃま向け」ってことね。
ちなみに友情ED(女同士のエンディング)は一種のバッドエンド的な位置にあって、パラメータを下げまくらないと到達できない上、男性キャラ狙いの時に比べてイベントも少ないです。しかもエンディング会話はギリギリ友情ものととれる範囲におさまっています。ラストの絵はそれなりに妖しかったりするのですが、あんなに苦労して攻略するほどのもんでもない、と個人的には思いました。そんなわけでレズゲーとしてはバツです。