石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

ドラマコンプレックス 松本清張スペシャル『指』の感想

※以前書いたプチ感想はこちら
録画しておいたのをようやくひととおり見たんだけど、もうこれギャグだとしか思えん。何から何までノンケワールドを適当に焼きなおしてるだけなんだよね。

例1
貧乏時代の主人公がうどん屋でがつがつうどんを食ってると、若い娘さんの店員がそっとおにぎりを置いて「サービス。足りないでしょ」
いやこれ、主人公が男性で、差し入れる店員が人情味あふれるおばちゃんならあり得るかな、とは思いますけどね。若い女の子同士でレズ的下心(?)でやるってのはいったいどんなギャグだ。
例2
主人公が売れない役者をしてるとき、お金のために割り切ってレズバーで働こうとする。店に足を踏み入れるやいなや、変なレズ客にエロい目で見られて手を握られる。
ありえねーよこれ!!

第一に、レズバーの時給は安いです。お金目当てでレズバーで働くこと自体が変です。第二に、レズバーの客は店員に触りに行ってるんじゃありません。「絶対男からナンパされない」「いちいち『彼氏いるのー?』だの『結婚してるの?』だのとうざい質問をされない」っていう空間で楽しく飲むために行ってるんです。いったい何をどう想像すればこういう描写になるんだか。

そもそもあんな広い店舗面積のレズバーて。ゲイバーやノンケバーよりよっぽど儲からない業界なんだから、あれじゃ家賃払えなくて1ヶ月で潰れるわよ。と思ってたら、うわー、レズバーなのにボックス席があって、さらに、ミセコがホステスみたいに客についてる!! ありえねえええ!! 製作者側は、バーといえばノンケ向きの飲み屋しか想像つかないんでしょうか。客はみんな下心ありありで、綺麗なおねーちゃんをはべらせてウハウハ、みたいな。そんで店員は客にしなだれかかって貢がせる、とかさー。頭悪すぎ。そもそもあの不気味な内装とか変態店主とか、全部変な想像だけで描いてるのが丸分かりで笑っちゃうわよ。

あと、ゴマキの演技がひどいひどいとは聞いていたけど、まさかこれほどとは。タイトル『指』(ちなみにタイトルバックの絡み合う手と手は全然色っぽくなくて、「これは良いハンドくん*1ですね」としか思えませんでした。)が出た直後の「3年前の冬……」って台詞、わざと棒読みにするシーンなのかなと思ってたらあれがマジ演技だとわかって腰抜かしました。その後、まったく同じ棒読みで「私、歌が下手なんです。(中略)歌手が駄目でも、女優がある」と抜かすのを聞いて、笑い死ぬかと思いました。

え、女同士の関係の描写はどうかって? ごめん、笑い転げるのに忙しすぎて、そこまで見てない。ただあちこちのブログで「レズの妖しさを表現しきれていなかった」とかなんとかしたり顔で書いてるノンケさんを見かけて大笑いしたけどね。「レズの友人も知人もいないくせに想像だけでそういうことを言っちゃうバカがレズドラマ作るとこうなるんだよ、アンタら同じ穴の狢だよ」とか思いました。何なんですか「レズの妖しさ」って。レズのあたしでさえそんなもん知らないわよ、ぷんすか。
2006-03-03追記