石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『危険な二人』(MARO、松文館)感想

危険な二人 (別冊エースファイブコミックス)危険な二人 (別冊エースファイブコミックス)
MARO

松文館 1995-05
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百合とかレズビアンとかいうより、単なる野郎のオナニー妄想っぽい……。

18禁エロ漫画。「ナースキャップ」「危険な二人」「Blue Mermaid」の3篇が♀♀ものなのですが、どれも股間描写にばかり執着するスタンスが目立ち、百合とかレズビアンとかいうより単なる野郎のオナニー妄想という印象が強いです。絵柄も作品によって劣化高橋留美子だったり劣化鳥山明だったり劣化「ダイの大冒険」だったりと、今ひとつ何がしたいのかよくわかりません。というわけで、あたしにはあまり合いませんでした。

性器にばかり執着するエロ描写

とにかくひたすら股間股間股間。相手を拘束してクスコを突っ込んだりシリンジ突っ込んだり体温計を直腸に突っ込んだり(『ナースキャップ』)、やっぱり拘束して双頭ディルドを突っ込んだり(『危険な二人』)、ひたすら69と貝合わせにあけくれたり(『Blue Mermaid』)といった具合です。

言っちゃっていいでしょうか。童貞妄想くせえよコレ。童貞と言って悪ければ、セックス下手な異性愛者男性の妄想くせーですよこれ。とにもかくにも、「性器」と「性器への直接刺激」にばかり興味が集中しているあたりがあまりにも退屈で、ちょっとついていけない感じでした。いや、世の中にはそういうのが好きな層に向けたエロコンテンツも必要だ、というのもわからんではないのですが。

なんで女同士だと即、貝合わせやら双頭やらになっちゃうんでしょう?

ついでにここで声を大にして言っておきたいんですけど、どうして世のノンケさん方(の多数)は女同士のエロというと貝合わせや双頭ディルドのような「性器同士の相互刺激」パターンばっかり持ち出したがるんでしょう? おそらく根底に「快楽=性器結合」「レズのタチ役は、触ってても快感がない→貝合わせか双頭なら両方気持ちいいじゃん!」的な発想があるんだと思いますが、もうそのへんからして大バカだと思います。お前らそんなに性器の摩擦「だけ」が快楽だと思ってるのかと。ここでひとつ、あたしのバリネコ知人の名言を紹介しておきましょう。

レズビアンのネコはただ愛撫されるだけが仕事じゃない。タチに愛撫されつつ、タチの脳内をイメージで愛撫するのが仕事よ!

ちなみに性科学の分野では、こんな研究結果も出てるみたいですね。以下、性科学研究者「身体への接触なしでもオーガズムは可能」(1) « WIRED.jpより引用。

Whipple:われわれの研究所では、女性は身体への接触がなくてもイメージだけでオーガズムに達し得ることを実証した。重要なことは、女性がさまざまな形の刺激からオーガズムや性的快感を得ることができるということだ。生殖器への刺激は必須のものではない。

というわけで、「触る側は快感がない」だなんて、バカなノンケの迷信ですよ。あたしが股間への即物的な刺激にばかりこだわるレズビアンエロ漫画を見ると「うっわー、妄想くせー」と一歩ひいてしまうのは、そういう理由によります。

絵柄について

上の方でも書きましたが、どこかで見たような絵柄が多くて今ひとつピンときませんでした。もう少しオリジナリティがあった方が読んでて楽しいかなーと。

まとめ

ひたすら女のコの股間にばっかり執着する漫画であり、百合/レズビアンものとしては今ひとつ。絵もどちらかというと没個性的。こうした漫画へのニーズももちろんあるのでしょうが、個人的には全く合わず残念です。