石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『いおの様ファナティクス(2)』(藤枝雅、メディアワークス)感想

いおの様ファナティクス v.2 (電撃コミックス EX 88-2)

いおの様ファナティクス v.2 (電撃コミックス EX 88-2)

綺麗にまとまった素敵な最終巻

異国の女王様「いおの様」の側女探し百合コメディ最終巻。綺麗にまとまった素敵な終わり方でした。最終話ではメインストーリーより何年か先の未来が語られるのですが、あの人が漢字でしゃべるようになっていたり、意外なカップル(これがまた可愛い)ができていたり、なんとあの人が側女になっていたりと、楽しいサプライズがいっぱい。最後までサービス精神豊富な、楽しい百合漫画でした。

『いおの様ファナティクス』の最大の特徴は、ポリガミー(またはポリアモリー)を明るく肯定していることだと思います。この巻では、いおの様公認で側女同士のカップルも複数存在することが明らかにされており、ますます自由で優しい感じの空気がとてもよかったです。よくあるハーレム漫画的な展開(=主人公が女性を独占して終わり)だけでは終わらない太っ腹なお話だ、とつくづく感心しました。これは結局、いおの様の懐が広いってことでもあるんですけどね。ちなみにいおの様の愛の深さや度胸の据わり方も、1巻と同じくお見事でしたよ。

それから、この巻ではついに夜伽を経験した人がいて、これもちょっと嬉しかったところ。あれだけ「側女」とか「伽」とか言っておいてこういうシーンがゼロのまま終わってしまったら、ただのなんちゃってレズ話に見えてしまいかねないですもんね。少年誌掲載作品ですから、もちろんモロのエロシーンそのものはないのですが、事前と事後の描写が色っぽくて可愛くて素敵でした。

というわけで、とても良い最終巻でございました。時代劇なら日本晴れのもとに富士山が映ってチョーンと拍子木が鳴って終わりそうな、天晴れなハッピーエンディングだったと思います。ああ、堪能した。