- 作者: 竹本泉
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/10/23
- メディア: コミック
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ぼーっとした大団円(相変わらず百合キス多数)
キスばっかりしてる(ただし恋人同士ではない)「佐々さくら」と「上桜二子」のラブラブ生活を描くまったり百合漫画の最終巻です。相変わらず二子がふにゃふにゃとさくらに甘えまくり、ちゅーしまくり、お風呂も寝るのも常に一緒という日常が描かれます。変化といえばふたりが浪人したことぐらいで、なべて世はこともなくゆるゆるぼんよりと進んでいくのでした。最後まで恋愛色は薄いのですが、これはこれで「情熱的な段階をすっ飛ばしてまったり期に突入してるカップル」と受け取れんこともないです。とりあえず1巻や3巻にあったような、「女の子同士は数のうちに入らない」的な異性愛中心主義が見られないだけでもひと安心。
さくらと二子のカップル性について
相変わらず朝から晩までべったりで、ポッキーのみならずチーズ鱈やスルメまでラブラブ食べ(両方向からふたりで食べるやつ。特にスルメはなかなか噛み切れないのでスリリング)したりしているさくらと二子ですが、これを「カップル」と呼べるかどうかは微妙だと思うんですよね。
さくらの卒業時に男子たちが
と言ってたり(p. 115)、高校3年間もてなかったと言うさくらに女子たちが佐々が――いなかったら上桜にアタックしてたのに
と指摘したりするところ(p. 117)なんかは、わりとふたりをカップル寄りに位置づけていると思います。でも、最終回を見るかぎり、さくらには全然そんな意識がないんですよね。自分と二子が将来カップルとして添い遂げるよりも、どちらかが男と結婚して(!)も相変わらず二子に甘えられるとか、相変わらず今と同じ生活をしているという未来の方がより「ありそう」だと彼女は考えています。結局、これってやっぱり、「恋愛への興味が薄いヘテロセクシュアル女子ふたりがぼんよりいちゃいちゃと暮らす話」であって、さくらと二子は最後まで“恋人同士”にはならないんだろうなとあたしは思いました。「いや もてもてだった」
「もてもてだったねー」
ただ、何がなんでも恋愛として燃え上がればいいってものでもないし、惚れた腫れたの大騒ぎなしで永続的なまったり仲良し状態を保っているさくらと一子の姿って、ある意味カップルというものの理想形だと思うんですよ。関係性を長持ちさせるのは、情熱(という名の緊張)ではなくリラックスですからね。そういう意味では、これってロマンティック・ラブ・イデオロギーを軽やかに飛び越えてみせた「理想のカップル」像なのかもしれないなあと思ったりしています。
今回はヘテヘテ台詞なし
「女同士はカウントしない」的なヘテヘテ台詞は今回皆無です。これにはほっとしました。
まとめ
ゆるゆるとしたラブリーな最終巻でした。結局恋愛方面には少しも傾かずに終わってますが、これはこれで面白くて良いかと。「まったりとしたいちゃいちゃ関係」や「可愛い女のコふたりが仲良くちゅーしまくるの図」がお好きな方なら買いだと思います。