石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『学級レディチコちゃん!』(木村屋いづみ、富士見出版)感想

学級レディチコちゃん (富士美コミックス)学級レディチコちゃん (富士美コミックス)
木村屋 いづみ

富士美出版 1994-09
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エロは微エロ、百合も微百合なアクションコメディ

「胸のバッジで正義の味方『学級レディ』に変身する小学生・チコが、『黒の生徒会』の刺客たちと戦う」というアクションコメディ。成年コミックなのにHシーンはゼロ(せいぜいパンチラとか裸とか失禁どまり)という謎の位置づけの漫画です。百合っぽいという噂を聞いて読んでみたのですが、こちらの方もあくまで微百合テイストかな。ただしチコと宿敵(のはずの)千早紀との心の交流は微笑ましいし、決めポーズが非常にうまい絵柄も魅力的です。

エロ描写について

これはもうホントに驚きました。18禁なのに第1話がHシーン無しだった時点で「?」と思ったのですが、まさか最後まで微エロ路線を貫くとは。これはこれで面白いんですが、後半がどうも打ち切りっぽい(広げた風呂敷たたまずに終了)のはやっぱり読者層の支持が得られなかったんでしょうか。いずれにせよ、純粋にエロ目当ての方には向かない作品なので、ご注意を。

チコと千早紀の関係について

レディ・マッスルこと千早紀は「黒の生徒会」の一員。チコをつけ狙う側の人間です。チコの初恋の相手でもあり、物語の後半では体を張ってチコを守ったりもします。ふたりの間に育っていく友情も見どころ。

ただ、果てしなくストレート臭いんですよ、チコも千早紀も。チコが千早紀に恋をしたのはボーイッシュな彼女を少年と思いこんだためですし、千早紀は千早紀で同性愛傾向のあるキャラのことを「そーいやあいつズーレーだって」と称しているしで、結局二人ともどこまでもヘテヘテなんです。一応ふたりが裸で抱き合っているシーンもありますが、それとても別にラブいシチュエーションではありません。というわけで、百合/レズビアン漫画というより「ヘテロ同士の微百合物」ととらえた方がより正確な作品だと思います。

絵柄について

冒頭にも書きましたが、決めのポーズが非常にうまい漫画家さんだと思います。変身シーンなど、いかにもな感じで楽しかったです。

まとめ

成年指定なのに微エロだし、百合かと思いきやヘテロ同士の微百合だしで、どうにも判断が難しい作品。ただし、絵のうまさも相まって、アクションコメディとしては充分面白いと思います。もう少しお話を続けて伏線を回収していけば後半もっと盛り上がったと思うので、そこが残念だったりもします。