石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『学校のせんせい(2)』(巣山真也、スクウェア・エニックス)感想

学校のせんせい 2 (ガンガンコミックスONLINE)

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どつきどつかれの爽やか百合ギャグ

「サクラ」「ゆり子」「あかね」の新米女教師3名の日常を描くドタバタコメディ、第2巻。読んでびっくり、いい方に大化けしましたねこの漫画。まず、1巻よりギャグがはじけていて、特に毎回のオチのつけ方がうまいです。百合っぽい部分にも嫌味がなく、すっきりと読めました。新キャラとのやりとりなどで、メインの3人の性格がよりくっきりしてきたところも面白いです。相変わらずガチ百合なお話ではないのですが、この内容ならばライトな百合コメディとしてじゅうぶんにおすすめできると思います。

2巻のギャグについて

さらりと乾いた笑いの組み立て方がうまいなと。1巻はパンチラインが3人のモテなさやオタクっぷりに偏っていたと思うのですが、この2巻では笑いの幅がもっと広がっているように思います。特にオチのつけ方がよかったです。思いもかけぬ方向で謎を解決させたり、安定した状況をひょいと不安定な方向に逸脱させてみたりと、自由自在に笑わせてくれる感じで、楽しめました。

2巻の百合について

1巻と同じく基本的に全員ヘテロなので、ガチ百合展開はありません。でも、今回はゆり子のヘテ度がかなり控えめ(2巻だけ見たら同性愛者/両性愛者かと思うぐらい)だし、あかねの無自覚な百合っぽさもいい味を出しているしで、以前のような「欲求不満のバリヘテが女同士で乳繰り合うの図」とはまた違う雰囲気があるんですよ。女のコ同士のシチュエーションをただのエロ行為や「萌え」として消費するだけではなくて、もう少し深いものが時々(ギャグまじりで)ほんのり描かれる感じ。そこが面白かったです。

2巻のキャラ立てについて

1巻は「オタクでダメな人」という設定が服着て歩いてるようなフシがあったメインキャラたちですが、この巻ではより生き生きと動き回り始めています。オタクネタそのものは健在ですが、キャラの説明がオタク要素「だけ」で終わってしまわないところが面白いんですよ。3人の後輩(実は同期だけど)「いつみ」やズレたツッコミ娘「水原」の使い方もよかったです。こうした新キャラとのやりとりで、メインの3人の性格がより立体的なものになっていると思います。

まとめ

笑いの幅も百合の幅も飛躍的にアップしていて、とても楽しく読めました。ド直球な女女恋愛ものではありませんが、さっくり読める百合コメディとして安心しておすすめできる感じ。3巻も楽しみです。