石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『瞳のフォトグラフ(3)』(GUNP(杜講一郎×さくらあかみ)、ソフトバンククリエイティブ)感想

瞳のフォトグラフ 3 (Flex Comix)

瞳のフォトグラフ 3 (Flex Comix)

「カメラ入門+サイドストーリーとしてのライト百合」路線継続中

2巻と同じ、「カメラ入門+サイドストーリーとしてのライト百合」路線が堅実に保たれています。写真関係の部分も百合な部分も嫌味なく読めました。激しく百合ん百合んなものを求める方には向きませんが、写真に興味があって、女のコ多めのきゃるるん系な漫画がツボな方には良いかも。

今回のカメラ要素について

「Tv (Time Value)」「Av (Aperture Value)」などの用語説明やカメラバッグの選び方など、写真初心者にとって「痒いところに手が届く」内容かと。それでいて単なる蘊蓄漫画に終わっていないのは、お話の力点が常に「カメラ知識の説明」よりも「キャラの心の動き」にあるからだと思います。大ゴマや見開き絵を使った思い切った演出も良く、読みやすかったです。

今回の百合方面について

本編内ではイヅミの友情百合がチラリと描かれるのみ。チラリとは言え、いつものあの赤面モードが可愛いです。他にはせいぜいシオリが軽く女のコに抱きついたりしている程度で、百合としては非常に薄口。その分、カバー下や番外編「ふたりの景色(前編)」でシオリとユイのガチカップル(?)が健闘している感じです。
とりあえずシオリがよくあるセックスモンスター型のレズビアンとしては描かれなくなってきたところにひと安心かな。1巻みたいに本編内でヘンに「女が好きな女=誰彼構わず手を出す痴女」パターンをなぞられるぐらいなら、これぐらいの濃度の方がかえってありがたいと思いました。

その他いろいろ

  • ストーリーには予想外の展開はほとんどなく、無難と言えば無難。お話の起伏を楽しむタイプの作品ではないので、これはこれでありかもですが。
  • 「ハートウォーミング」というより「可愛い女のコがキャッキャウフフ」系のお話だと思います。個人的にはもう少し各キャラの性格に奥行きが欲しいかなと思いました。「役割が服着て歩いてる」風に見えてしまうことが、たまにあるので。

まとめ

とっつきやすくてわかりやすいカメラ入門漫画。あくまでカメラの面白さを伝えることを主眼に置いた作品であり、百合な部分やストーリーの起伏などはサブ要素だと思っておくのが吉かと。とは言え、番外編まで作ってシオリとユイのエピソードを追求してくれるところはありがたいし、写真に詳しくないあたしでも十分楽しめる1冊だったと思います。あとはもう少しキャラに人間くささが出てきてくれると嬉しいんですが、そこまで望むのは贅沢でしょうか。とりあえず続巻に期待。