ゲイのユーザがFacebookを離れ、新興SNS「Ello」へと大移動しています。Facebookがその実名ポリシーからドラァグクイーンのユーザたちに本名登録を強要したことが、LGBTフレンドリーではないとみなされている模様。
詳細は以下。
Social network Ello gets boost after Facebook boots drag queens - The Washington Post
Facebookはこの9月、ドラァグクイーンのアカウントを狙い撃ちにして、実名で登録するよう迫ってたんです。本名だと証明するため、運転免許証のコピーを送るよう要求されたドラァグの方もいらしたとか。しかし普段から芸名で活動し、生活している人が、親しか知らないような本名で登録したところで、誰とどう交流できるというのでしょうか。ビジネスでも交友関係でも、デメリットしかないよね。何より、ドラァグクイーンのシスター・ローマ( Sister Roma)さん(彼女も本名の『マイケル・ウィリアムズ(Michael Williams)』への変更を余儀なくされています)のところに届いたという、こんな声を無視しちゃいかんと思うのよ。
わたしの生まれ持った名前は犠牲者の名前、自分自身を憎んでいた孤独な男の子の名前です。
それは絶対に現在のわたしではありません。The name I was born with is the name of a victim, a lonely little boy who hated himself.
That is NOT who I am.
ドラァグのタレント、ル・ポール(Ru Paul)も、ザ・ハリウッド・レポーターでFacebookの実名主義を批判。さらにその件を自らツイートしたことで、この話題は一気に広がりました。
そこで新興SNS「Ello」が、ゲイの新たな流入先として脚光を浴びることになったわけですよ。何しろElloは、
- 本名不要
- 広告なし
- ユーザデータを商業利用しない
- ポルノOK
……という、Facebookとは180度違う方針で運営されているSNS。だいたい公式サイトのこんな説明文からして、Facebookにケンカを売っているとしか思えません。
利益のためにあなたの個人データを集めて売ったり、あなたから友達へのポストを読んだり、あなたの社会的なつながりをマッピングしたりすることは、気味が悪いし、道義にも反しています。
Collecting and selling your personal data, reading your posts to your friends, and mapping your social connections for profit is both creepy and unethical.
別にドラァグクイーンでなくても、わざわざSNSにプライヴァシーを暴かれたくない(カミングアウトしてないのにゲイ向け広告を表示されちゃった人とかいましたしね)性的少数者であれば、Facebookよりこちらのポリシーの方に共感しやすいのでは。ちなみにElloの創始者ポール・バドニッツ(Paul Budnitz)氏はDaily Dotに対し、「自分たちはLGBTQのユーザを歓迎する」と話しているそうです。そんなこんなで、大々的な出エジプトならぬ「出Facebook」が始まったというわけ。
Voxによれば、Elloは2014年9月26日現在で1時間に31000人のユーザを増やしているそうです。その全員がLGBTQというわけではないにしても、Facebookのやり方にうんざりしていた人がそれだけ多かったということなんでしょうね。
ただしElloにはElloの弱点があるようで、フィルタ機能やブロック機能の貧弱さから、既存SNS(FacebookやTwitterなど)よりかえってプライヴァシーを保ちにくいという批判も受けている模様。そのあたりは慎重に見きわめながら使って行く必要があるのかもしれません。
しかしFacebookもねー、ジェンダー設定を多様化したり、LGBTフレンドリーなステッカーを作ってみたりして「わしら多様性に配慮してまっせ」アピールをちょこちょこやっているわりには性的少数者関係のコンテンツの検閲事件も多くて、個人的にはあんまり好きになれないんですよね。強力な競合相手ができたことで、お互い切磋琢磨し合ってより洗練された機能やサーヴィスを提供するようになってくれるといいんじゃないかと思います。