米国の製菓会社NECCOが、同社のハート型キャンディーの発売150周年を記念するキャンペーンで、交際55周年を迎える80代ゲイカップルへのインタビュー動画をリリースしました。
詳細は以下。
Sweethearts Candy Marks 150th Anniversary With Valentine's Campaign Celebrating All Love | Adweek
動画はこちら。
この動画のタイトルは"The 55th Valentine"(『55回目のバレンタイン』)。YouTubeの説明文は、以下の通りです。
なぜ2016年のバレンタインデーが他の年よりもちょっとだけスウィートなのか、見てください。
See why Valentine’s Day 2016 will be a little sweeter than the rest.
動画内ではまず、ゲイカップルのジャックさんとジョージさんがこれまでの55年間のお付き合いを振り返るところが描かれます。「1961年の1月19日に初めてジャックに会ったとき、彼はカードをくれたんだよ。それでつきあい始めたんだ」、「彼がいないと眠れない。彼がいないとどうしていいかわからないよ」、「出会ってすぐ、ずっと探していたのはこの人だとわかった」等々のラブラブな話が続いた後、ふたりは最高裁が同性婚を認めたときの思い出について語ります。
そこでこんなメッセージが画面に流れるんです。
2016年のバレンタインデーは、ジャックとジョージが法的に結婚したカップルとして祝う最初のバレンタインデーです。
Valentine's Day 2016 will be the first Valentine's Day that Jack & George will be able to celebrate as a legally married couple.
だから今年のバレンタインデーは他の年よりちょっぴり特別だというわけ。
動画のオチで出てくるNECCOのハート型キャンディー、"Sweethearts Conversation"は、ひとつひとつに"ME & YOU"(きみとぼく/あなたとわたし)、"LOVE YOU"(愛してる)などの愛のメッセージが書かれた定番商品。同社はこのキャンディーの発売150周年を記念して、特設サイトで「恋愛、ロマンス、愛情、友情および/または家族」をテーマとするスウィートな話を募り、最優秀作の応募者に5000ドル進呈するというキャンペーンを展開しているところです。キャンペーン用の動画でジャックさんとジョージさんをインタビューしたことについて、同社のマイケル・マギー(Michael McGee)最高経営責任者は以下のように話しています。
「わたしたちの地域社会はますます大きく、そして密接につながったものになりつつあります」
"Our communities are becoming bigger and more connected,"
「ブランドにとっては、それは従来型の一方的コミュニケーションでは不十分だということを意味しています。消費者がブランドに関与する手助けをし、ブランドと消費者の会話を双方向性のものにする方法を見つける必要があるのです」
"For a brand, that means traditional, one-sided communication is not enough. You have to find ways to help consumers participate with your brand and have your conversation become interactive."
この動画を「高齢ゲイカップルの愛の話を傾聴する」というかたちにしたのは、そういうわけだったんですね。たしかにこれなら、従来型の一方的な発信とはひと味違うメッセージが示せると思います。1847年創業の会社にこれだけの柔軟性と進取の気性があることには驚かされましたが、逆にそういう企業体質があるからこそ150年も続いているのかもしれないとも思います。「日本のお菓子メーカーがこういうキャンペーンを打つ日は来るんだろうか。来るとしたら、一番乗りはどこだろう」など、あれこれ考えさせられてしまいましたよ。