石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

オーストラリア・ニュージーランド銀行が同性カップルの手つなぎCMをリリース

03.DarrenLabbe.CircleBar.WDC.7June1996
03.DarrenLabbe.CircleBar.WDC.7June1996 / Elvert Barnes

オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)が、社会的偏見のために一部のカップルが人前で手をつなぎにくい状況を変えようと呼びかけるCMをリリースしました。

詳細は以下。

Heartwarming advert encourages gay couples to keep holding hands · PinkNews

動画はこちら。

ANZはシドニー・ゲイ・アンド・レズビアン・マルディグラのプリンシパル・パートナーで、オークランド・プライド・フェスティバルも支援している企業。ほら、2014年にマルディグラ支持を表明するために街角のATMを「ゲイTM」に変貌させ、話題を呼んだ銀行があったでしょ。あの銀行です。そのANZがYouTubeで今回のCMに添えたキャプションはこちら。

2017年でさえも、手をつなぐというシンプルな行為がまだ難しい人たちもいる――それを変えよう、そして#しっかり手をつなごう

Even in 2017, the simple act of holding hands is still difficult for some people - let's change that and #HoldTight

レズビアンであるあたしは今でこそわりと平気で人前で恋人と手をつないでいますが、こうできるようになるまでにはずいぶん時間がかかりましたし、場所はやっぱり選んでいます。なぜ場所を選ぶのかというと、YouTubeの上記動画のコメント欄に書き込まれていた下記のようなことが、日本でもいくらでも起こり得るからです。

電車の中で隣にいた見知らぬ人が、ぼくの彼氏の手がぼくの膝に乗っているところを写真に撮って、誰かにメールで送った。その人はメールの中で、「ゲイたち」の隣に座っていることを嘆いていた。彼は電話が見えないようにぼくの視線をさえぎろうとしていたが、うまくいってはいなかった。「そういうことはしないでください」と言ったところ、彼は電車を降りるまでずっと寝たふりをしていた。

A stranger next to me on a flight took a picture of my boyfriend's hand on my knee and texted it to someone. In his message he lamented that he was sitting next to "gays". He tried to shield his phone from my line of sight, but that didn't work out well for him. I told him, "Please don't do that." He pretended to sleep the rest of the flight. #

そうそう、こういう「珍奇な見世物扱い」が嫌なんですよ。日本でも見かけるでしょ、「どこそこで百合/ゲイカップルを目撃しました!」とか言って写真やら解説イラストやらをソーシャルメディアに載せて騒いでる人。あるいは、そこまではしなくても、いちいち驚愕して凝視してきたり、ばれてないつもりで一生懸命チラチラ見てきたりする人(全部バレてますよー)。この手の人々にとっては非ヘテロとは肖像権もプライバシーの権利もないただのネタなのでしょうが、こっちは生きてる人間なんですよね。

YouTubeのコメント欄にはさらに洒落にならない体験談もありました。

この動画は美しかったし、たいていの場合において素敵な考えだろうと思うけど、手をつないでいると危険な目に遭うときもあります。1年前、わたしは彼女と手をつないでいて、ふたりとも階段でふたつ下の踊り場まで突き落とされました。気を付けてください、安全でないと思ったときは手をつながないで。

This was beautiful and most of the time this would be a lovely idea but sometimes holding hands can and does lead to abuse. A year ago I was holding hands with my gf and we got pushed down 2 flights of stairs. Please be careful and if you really do feel unsafe DON'T hold hands.

ANZからの返事は、こう。

同意せざるを得ません――安全が何より大切であり、ご経験をうかがってお気の毒に思います。この問題への関心を高めることが、誰もが何のためらいもなく手をつなげる末来につながるよう願っています。

We have to agree - safety should come first and we're sorry to hear about your experience. We hope that raising awareness will lead to a future where anyone can hold tight without a second thought.

早くそういう末来が来てくれるといいなあ。