Prison Bars Jail Cell / JobsForFelonsHub
南米のコロンビア共和国が、同国の刑務所で十年間服役していたレズビアンが性的指向を理由に職員から虐待されたり、パートナーとの面会を認められなかったりしていたことについて正式に謝罪しました。
詳細は以下。
The LGBT activist who took on the entire Colombian prison system
この女性マリア・アルバレス(Marta Álvarez)さんは現在58歳。彼女は服役して2年が過ぎた1996年、パートナーが女性だからという理由で「不道徳である」として刑務所での面会を拒否されたり、虐待されたりしたことについて、米州人権裁判所(Inter-American Commission on Human Rights)に訴え出ていました。2014年、同裁判所は国がアルバレスさんにガールフレンドとの面会を認めなかったのは人権侵害であるという判断をくだし、ついに今年(2017年)、コロンビア政府が彼女に公式に謝罪したのだそうです。
下記の動画で、アルバレスさんが出所以来13年ぶりにボゴタのブエン・パストル(Buen Pastor)刑務所に赴き、正式な謝罪を受けるまでを見ることができます。(2017年12月13日追記:動画へのリンクが抜けていたので、直しました)
動画内でのアルバレスさんの回想によると、服役当時、検察庁はガールフレンドの面会を認めていたのに、刑務所長が「恥ずべき事だ」「不道徳だ」「危険でさえある」「セキュリティ上の問題がある」などと言い立てて却下してしまったのだそうです。それだけにとどまらず、アルバレスさんが違反行為をしたとでっちあげて独房に閉じ込めたりもしたとのこと。
「レズビアンだというだけで刑が二倍になるのは不当だ」とアルバレスさんは述べています。自分が犯したとされる犯罪に対する罰を受けるだけでなく、レズビアンであることまで罪だとされて罰を与えられるのは不公平だと。ちなみにHuckによると、彼女のいた刑務所ではレズビアン行為に対する罰として受刑者をネズミが出る独房に3か月も入れたり、殴ったり、劣悪な環境のバスで移送したりするということがおこなわれていたのだそうです。アルバレスさんの最悪の記憶は、ある看守に壁に押し付けられて服を破かれ、他の看守にまで身体を見られて、さらに殴られたこと。
刑務所に向かうバスの中で、「(緊張して)もう汗をかいてきた」と笑うアルバレスさんは、それでも関係者たちのことを赦すつもりだと話しています。憎みも恨みもしたけれど、彼らにアルバレスさんに赦しを請うだけの立派さ(la grandeza)があるのなら、心から赦しましょうと。
バスが刑務所に着くとそこにはレインボーフラッグが飾られていて、50人ほどのレズビアンの受刑者グループがアルバレスさんを出迎えます。そしてついに、コロンビアのエンリケ・ヒル・ボテロ(Enrique Gil Botero)司法大臣が国を代表して正式な謝罪のスピーチをします。
動画の最後で、「自分にとってもっとも大切なのは刑務所内の環境を変えることだった」「政府が謝罪したということが先例になる。政府職員によって実行された、あれらの恣意的で不公正なおこないについて、政府が責任を取るということが大事」と語るアルバレスさんは、Huckに対し、この訴えを起こした頃のことを以下のように説明しているとのこと。
「弁護士はわたしに、ほんとうにこれをやるつもりなのかと訊きました。ひどいことになりそうだったからです。わたしは、もちろんといいました。誰かがやらなきゃいけないんだ、そして、わたしがその役目をやるんだと」
“The lawyer asked me if I was sure I wanted to do this because it was going to be ugly,” she recalls. “I said sure, somebody has got to do it – and that’s going to be me.”
リアル『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』みたいな話だなあ。ついに公式謝罪が決まり、刑務所に向かうバスの中で「これで自由になれる、力を得て、胸を張って歩ける」と語っていたアルバレスさんですが、きっと彼女を出迎えたレズビアンの受刑者たちも同じ思いなのでは。