石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

トランスと知り採用取消 賃金も払い渋る スペイン・バレンシア州

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スペイン・バレンシア州カステリョン県の30歳のトランス男性が、試用期間後本採用が決まっていたガソリンスタンドで、自分がトランスセクシュアルだと知られたために解雇されたと話しています。

www.elmundo.es

この男性、ジョアン・ロペス(Joan López)さんが生まれたときにつけられたファーストネームは「ジェシカ」。2年前から改名手続きを進めている彼は、ジョアンとしてガソリンスタンドの求人に応募し、15日の試用期間中「まったく普通に」働いていました。ガソリンスタンドの経営者との関係も「いい感じ」で、無事給油係としての本採用が決定したのだそうです。しかしながら、その後ジョアンさんの身分証明書を見た経営者は不快感を示し、「それじゃ一体おまえの名前は何なんだ?」と叫び出したのだそうです。そう、政府発行の書類の上では、まだ名前が「ジェシカ」だったんです。

ジョアンさんは契約書に書き込む名前に気をつけてほしいと頼みましたが、経営者との関係はもはや元には戻りませんでした。それでもその後2週間、週末にそのガソリンスタンドで働いていたジョアンさんでしたが、3週目の週末が来る前に「もう来なくていい」と電話がかかってきたとのこと。おまけに約300ユーロ(約36500円)の給料についても、ひどい言葉遣いで「ユニフォームを持ってこなければ払わない」と脅され、そのユニフォームを持って行っても「金を持ってくるのを忘れた」と言われて払ってもらえなかったのだそうです。最終的にはジョアンさんが経営者の妻に電話して、その妻からようやく払ってもらえたとの由。

以下、ジョアンさんのことばです。

「訴えを起こしてはいません、自分がトランスセクシュアルだからこうなったという証拠はないので。でもほぼ間違いなくその理由だったと思います」

«No lo he denunciado porque no tengo pruebas de que sea por ser transexual, pero creo casi seguro que fue por ese motivo».

これまで数限りない回数ガソリンスタンドを利用してきたけど、一顧客として従業員がシスかトランスか気にしたことなんて一度もないぞ。それに改名手続きが済んでないことは解雇事由にならないと思う、そんなことが認められたら、トランスセクシュアルやトランスジェンダーの人が生活できなくなっちゃうよ。ちなみにEL PAÍSによると、マラガ大学の2012年の研究では、スペインのトランスの人々の失業率は37%(全国民平均は26%)で、3人に1人が月収600ユーロ(約73000円)未満で生活しており、2人に1人(48%)が売春に従事していたと報告されているとのこと。どう考えても雇用差別があるんだと思います。