石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

ラスベガスのトランスジェンダー・バーで銃撃 トランス女性がけが

f:id:miyakichi:20180301124738j:plain

2018年2月23日午前5時15分頃、何者かが米国ラスベガスのトランスジェンダー・バーの駐車場から店内に向かって銃弾を撃ち込み、少なくとも1人が負傷。にもかかわらず、主要メディアはこの店がトランス・バーだということを伏せた小さな記事を出しただけだったそうです。

詳細は以下。

Why Did No One Report On A Shooting At A Las Vegas Transgender Bar? | NewNowNext

Las Vegas Sunによれば、銃撃されたのはカレン・アベニュー900Eにある「ザ・ラスベガス・ラウンジ」(The Las Vegas Lounge)というお店。

同店の窓は広告と、トランス・プライドの旗の上に女性のシルエットをあしらったデザインでおおわれており、外から中は見えません。つまり犯人は特定の人物を狙ったわけではなく、無差別に店内に向けて発砲したことになります。

この事件で銃弾を脚に受けて病院に搬送された黒人トランス女性のキャリー・ルー・ビー・ヘイウッド(Callie Lou-Bee Haywood)さんは、脚の骨が折れていたとFacebookで報告しています。ザ・ラスベガス・ラウンジの店長(general manager)のジェニファー・ハリー(Jennifer Hallie)氏は、同じくFacebookで、事件当時争いはなく容疑者との接触もなかった、当局はこの事件をランダムな暴力行為として扱っていると報告。しかしながら、当初メディアの報道ではなぜかこの店がトランスジェンダーの人々が集まる場所だということは黙殺されていたとのこと。地元メディアのLas Vegas Review JournalFox5KVVUでさえ、同店がトランス・バー(またはトランス・クラブ)だということにはまったく言及しない、80語程度の短い記事しか出していません。以下、ヘイウッドさんのFacebookポストより引用。

トランスセクシュアルのバーが銃撃されたのに何の報道もないというのはどういうこと? これはヘイトクライムでしかなかったのに! わたしたちを守るLGBTコミュニティはないの? 何がどうなってるの?

How is it that a whole transsexual bar get shot up and there is NO coverage? This was merely a hate crime! No LGBT Community having our backs? What's going on?

同店がトランスジェンダーの人々が集まる場所だということが報じられたのは、26日のIntoの記事が最初だったそうです。でも3月1日現在、大手メディアは沈黙を保ったままだとの由。

よくあるよね、こういうこと。優位集団の人たちが劣位集団の人たちの受けている差別や抑圧について無知だったり、たいした被害などないはずだと思い込んだりできるのは、そもそも立場が弱い者たちが受けている被害がろくに報道されないからだよ。メディアの白人シスヘテロ中心主義(ついでに言うとトランスジェンダーの人々よりゲイを優先する傾向もある)は相も変わらずで、たとえば黒人女性のタマラ・バーク(Tarana Burke)が性暴力に反対する“Me Too”運動を10年前に始めたときにはたいして注目もしなかったのに、ハリウッドの有名な白人女優らが声をあげたとたんに「こんな大変な問題がこれまで放置されていたなんて!」と騒ぎ出したのがそのいい例。放置「されて」いたんじゃなくて、特権持ってる人たちが放置「して」きたというのが実態なのに。今回のラスベガスの事件で、これがトランスの集まる場所を狙った犯罪だということすら報じないのも、やはり単なる問題放置でしょう。仕事しろよメディア。

なおラスベガス警視庁は容疑者の映っている防犯カメラ映像を公開し、情報を募っています。一刻も早く犯人が逮捕され、適切な対処がなされますように。