石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

17歳ゲイ少年を鉈で襲い腕切断 コロンビア・スクレ県

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コロンビア共和国スクレ県の首都シンセレホで2020年7月30日、17歳のゲイ少年が鉈で切りつけられ、片腕切断のけがを負いました。容疑者もまた17歳で、これまでにも被害者の性的指向を理由に嫌がらせをしていたとのこと。

詳細は以下。

www.elespectador.com


被害に遭ったルイス・アルバレス(Luis Álvarez)さんによると、加害者は近隣に住む同い年の男で、以前からずっとルイスさんのことを「イカレ女、オカマ、オカマちゃん(“loca, maricón, mariquita”)」などと呼んで嫌がらせをしていたとのこと。事件の起こった日、いつもと同様に侮辱されたルイスさんが自分を守ろうとしてこの男に言い返したところ、手近にあった鉈を手に取って切りつけてきたんだそうです。

ルイスさんは驚愕して身動きもできず、これは脅しだと思ったのだそうですが、加害者はそのままルイスさんの左腕を切断。ルイスさんは医療機関に運ばれましたが、切られた腕の再接合は無理だったとのこと。

容疑者の方はどうなったのかというと、これが拘留もされなかったんだそうで。一応警察が逮捕はしたものの、未成年で、かつ警察が逮捕時にコロンビア家族福祉協会(ICBF)を同行させていなかったという手続き上の問題から、家に帰されたんだそうです。

ちなみにコロンビアのLGBT事情はどんな感じなのかについては、EL ESPECTADORでUCLAロースクールウィリアムズ・インスティテュートによる調査結果がちょっと紹介されています。それによると、同国のLGBT回答者のうち75%が18歳までにいじめの標的になったことがあると答え、ゲイ男性の71%が暴言を受けたことがあると言っているのだそうです。この調査、たぶんこれだと思うんですが、他にもけっこう衝撃的なことが書かれています。LGBTピープルの5人にひとりがコンバージョンセラピーを受けさせられたことがあるとか、11%が警官または政府職員に暴力をふるわれたことがあるとかね。ルイスさんとその家族を支援している非政府組織「スクレ・ディベルサ(Sucre Diversa)」のウーゴ・ラモス・エルナンデス(Hugo Ramos Hernández)氏は、地元の自治体や市長らに対し、子供や青少年が差別・偏見に立ち向かうためのトレーニングを受けられる教育プロセスが必要だと呼びかけているのだそうですが、たぶんルイスさんを襲った17歳ひとりを厳しく罰することよりも、こっちの方が長期的に見て重要なんじゃないかなあ。こういう暴力は差別横行の「結果」として生じているのであって、根源を絶たなきゃダメだと思うわ。