石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

「おばさんは間違ってる」:同性婚への反対求め泣き出した米下院議員にゲイの甥からアンサー動画

2022年12月8日、米下院が同性婚や異人種間の結婚を立法で合法化する「結婚尊重法」を可決。ネットでは、このときアンチ同性婚のVicky Hartzler下院議員(共和党)が泣きながら同法に反対するよう求めたスピーチの動画が話題になっています。泣くほど嫌か、平等が。おまけに同議員にはゲイの甥御さんがいて、その甥御さんが発表したアンサー動画がまたおもしろいの。

詳細は以下。

www.rawstory.com

まず、結婚尊重法が成立すると何がどう変わるかについては、BBCニュースの日本語報道がわかりやすいと思います。以下、引用。

同法案は、同性婚や異人種間の結婚など含み、すべての州で合法に行われたあらゆる結婚について、連邦政府がその有効性を認めるよう定めた。法案はさらに、他の州で合法的に行われた結婚の有効性を、他の州も認めるよう義務付けた。

同性婚や異人種同士の結婚が連邦法で合法化されることによって、仮に最高裁が今後、それと異なる判決を下したとしても、当事者は自分たちの権利を争うことができるようになる。

そして、このような変化が泣くほど嫌だったらしいVicky Hartzler議員がおこなったスピーチというのがこちらです。

Hartzler議員はこのスピーチで、同法案は「伝統的な家族を崩壊させ」、「信仰の声を黙らせ、神によって織りなされたわが国のいしずえを永遠に破滅させる」ものであるから勇気を出して反対側に回ってほしいと呼びかけ、感極まったのか途中で涙を流しています。でも実際のところ、「勇気を出して」も何も、お仲間のはずの共和党議員でさえ39人も賛成して可決されたんですけどね、この法案。

上記のスピーチに対するReddit上の反応をいくつか拾って訳してみます。

本当に、誰かを抑圧できないからって理由で泣いてる。

憲法の話をしてるのに米国はキリスト教国だと思ってるんだ、合衆国憲法修正第1条は政教分離に関するものだってのに。

「特権に慣れている人には、平等は(自分に対する)抑圧みたいに見えるものだ」


ここまでだけでも十分興味深いのですが、なんと、このHartzler議員の甥のAndrew Hartzlerさんはゲイなんだそうで。以下、そのAndrewさんが、同議員のスピーチに対するリアクションとして発表した動画です(全文文字起こしがついているので、リスニングが苦手な方でもわかりやすいと思います)。

Raw Storyが詳しく報じてますが、このAndrewさん、「同性愛は校則違反で退学の対象」というめちゃめちゃ保守的なキリスト教系大学(親がそこしか学費を出してくれなかったんだそうです)で1年次に退学寸前になり、2年次に自死未遂した経験があるんだそうです。Vicky Hartzler下院議員に対してはカミングアウト済で、にもかかわらず議会であんなスピーチをされたとのことで、「ヴィッキーおばさんは間違ってます」と彼は上記動画で話しています。以下、動画からいくらか引用してざっくり訳。

ヴィッキーおばさんは間違ってます。宗教系の大学みたいな宗教的機関は、黙らされたりしてません。宗教による免責でたくさんのLGBTQ生徒たちを差別する権力を、合衆国政府から与えられてます。それでいて連邦政府の資金までもらってます。

Aunt Vicky that's just not right. Institutions of faith like religious universities are not being silenced. They're being empowered by the U.S. government to discriminate against tens of thousands of LGBTQ students because of religious exemptions but they still receive federal funding.

おばさんは自分の宗教的信念を誰かに押し付けたいと思ってて、それをする権力を持ってないために、黙らされていると感じていると言った方が近いのでは。でも、別に黙らされてなんかいません。おばさんは単にこれからぼくたちみんなと共存することを学ばなきゃいけなくなるってだけで、それはきっとそう難しくないことだとぼくは思ってます。

It's more like you want the power to force your religious beliefs onto everyone else, and because you don't have that power you feel like you're being silenced, but you're not. You're just going to have to learn to coexist with all of us. And I'm sure it's not that hard.

届くといいよね、この言葉。