石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

今週の未紹介LGBTニュース(2017年9月24日)

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『セックス・アンド・ザ・シティ』のバイフォビックな場面をバイセクシュアル4人で視聴してみた

WATCH: Four bisexuals are left shook after Sex and the City biphobia

上記リンク先は、米ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』のシーズン3エピソード4「Boy, Girl, Boy, Girl... 」(2002)のバイフォビックな場面を4人の両性愛者が視聴し、感想を述べるという企画記事。まずこの「バイフォビックな場面」というのはこちら。

これは主人公のキャリー・ブラッドショー(サラ・ジェシカ・パーカー)がデートした男性がバイセクシュアルで、そのことを知ったキャリーがショックを受け、親友3人に相談するという場面。2017年の感覚で見ると、何もかもひどすぎます。ざっと列挙すると、こんな話が展開されてるんですもん。

  • 両性愛をオープンにする理由がわからない(キャリーの親友がオープンリー・ゲイなことは問題視しないのに?)
  • 両性愛は「もちろん問題」である
  • 両性愛は子供がみんな経験する「実験」
  • 両性愛は「混乱」
  • 両性愛者は結局同性とくっつく
  • そもそも両性愛が存在しているのかどうか疑わしい
  • 両性愛は「ゲイタウン」行きの乗り換えに伴う待ち時間だと思う

で、それを今バイセクシュアル4人が視聴して感想を述べた動画がこちら。


感想部分を訳すと、こんな感じですね。

  • 「これで全部おかしくなったんだよ! みんながこの番組を見てたんだから!」
  • 「もしちゃんとやっててくれれば、すごくたくさんのことが変えられたのに」
  • 「これ全部問題、このディナーテーブルで起こってること全部が」

2002年ってついこないだのような気がするけど、これだけのメジャー作品でここまでひどい誤解と偏見が堂々と開陳されていたとは驚きです。このエピソードを見て「バイセクシュアルってこうなんだ」と誤解をインストールされてしまった人も、きっといるんだろうなー。

ゲイの10代男子、女の子の親友宅でのお泊り会への参加を申し込む。親友ママの返事が最高

A Gay Teen Asked His BFF's Mom If He Could Sleep Over and Her Response Is Everything | PRIDE.com

ゲイの10代男性「メイソン」さんが、女の子の親友「ヒューストン」さん宅での女子限定のお泊り会に参加するべく、ヒューストンさんのお母さんにお願いのテキストメッセージを送りました。するとこのお母さんから、たいへん秀逸なお返事が返ってきたんだそうです。

やりとりのスクリーンショットは以下のツイートで見られます。

画像の英文をざっと訳すと、まずメイソンさんの送ったメッセージはこんな。

どうも、シェルトンさん! ぼくはメイソン・ブライアン・バークレイ、ヒューストンの新しい親友のひとりです。ヒューストンが金曜日にお泊り会をするのなら、非常にホモセクシュアルな男性であるぼくも参加できますでしょうか。お泊り会の参加者を同性だけにするというのは、異性に対する典型的な関心ゆえのことだと思います。そしてこの場合、ぼくは異性が好きではないのです。読んでくださってありがとうございます、ご考慮いただけると幸いです。よい夜を。アーメン。

そして、シェルトン夫人の返事はこんな。

んー、あのね、うちの夫ってセクシーなのよ。わたし、心配するべき?

お、お母さん! 論点、そこじゃないから! 蛇足ながら、これに対してメイソンさんが笑いで返しているところや、その後のヒューストンさんのツイートからして、おそらくシェルトン夫人はメイソンさんがゲイだととっくに知っていて、メイソンさんもそのことがわかっていて、その上でふたりで冗談を言い合っていたというのが真相なのではないかと思います。だとしても、こういう冗談がサラっと言えるお母さんって、いいよね。

豪ピザ屋、ある工夫でアンチ同性婚な看板の意味を変える

This shop turned an anti-gay billboard into a message about pizza / LGBTQ Nation

同性婚についての郵送調査が2017年9月に始まったばかりのオーストラリアは今、同性婚反対派による「(郵送調査で同性婚に)ノーと言いましょう」という趣旨のCMや看板であふれかえっています。そんな中、タスマニア州のピザ店「Wiseguise」が、ある工夫によってアンチゲイ看板の意味を買えてしまいました。

映像は以下。

写真の英文を訳すと、こんな感じになります。


元の看板「ノーと言ってもいいんですよ」
(その後ろにWiseguiseが付け加えた部分)「……パイナップルピザに」

WiseguiseのAlex Jones社長によると、このピザ店の建物の広告スペースをアンチ同性婚派団体が購入してアンチ同性婚なメッセージを掲載したため、これが同店の主張だと思われては困るということで、建物の壁に社長と従業員3名とで「続き」をペイントしたのだそうです。いいね。

映画『Battle of the Sexes(原題)』が米国で公開

'Battle of the Sexes' Defaults: A Wistful Lob for Equality Leaves LGBT People in the Dust | PRIDE.com

レズビアンのテニス選手、ビリー・ジーン・キングの伝説の一戦を描く映画『Battle of the Sexes』(あらすじ等はこちら)が2017年9月22日から米国で公開に。そして9月29日からは世界中で公開……というニュースなんですが、IMDbを見る限り日本での公開予定はいまだ影も形もありませんね。やはりブルーレイを個人輸入するしかないか。

同作品のトレイラーは、以下をどうぞ。


「同性婚お断りは『白人専用』の看板を掲げるのと同じ」クリスチャンのビデオフォトグラファーに判決 米ミネソタ州

Minnesota Videographers Said They Don’t Have to Film Gay Weddings. A Judge Disagreed. - The New York Times

米ミネソタ州でメディア制作企業を営むエンジェルとカール・ラーセン(Angel and Carl Larsen)夫妻が、同州の反差別法のせいで会社のホームページに「同性婚を祝う映像の撮影はお断り」と掲載できないのは信教や言論の自由を定めた合衆国憲法修正第一条に違反しているとして州司法長官などを提訴。しかし地裁は、そのような文言をホームページに載せるのは「合衆国憲法修正第一条に結びつけることなく禁止され得る、『白人の申し込みのみ受け付けます』という看板と同種の行為」であるとして、この訴えを棄却したとのこと。

似たようなケースでは、合衆国連邦最高裁が2014年、ニューメキシコの写真家に対し、言論の自由を根拠に同性婚のウエディング写真を拒否することはできないとする判決を下しています。当分続くんでしょうね、こういう裁判。

トランスの子供ふたりがスクールバスから追い出される 米NY

Transgender high school students kicked off school bus in New York state

2017年9月20日、米ニューヨークのグレン・フォールズ・ハイスクール(Glens Falls High School)のスクールバスの運転手が、トランス男子の生徒2名をバスから追い出してしまったというニュース。

このバスでは通路をはさんで片側に男子、もう片側に女子が座ることになっていて、運転手は男子の席に座っていたトランスジェンダーの男子生徒に対し、女子の席に移るようにと言ったのだそうです。彼らが「丁寧に断った」ところ、運転手は席を移るかバスを降りるかどちらかにしろと言い、それで2人とも降りて別のバスで帰宅するはめになったとのこと。2人はすぐに学校に連絡を入れ、学校と両親の連絡もつき、さらに匿名のテキストメッセージで学校に通報した人もいて、運転手のしたことはたちまち知れ渡ったとの由。

これ、そもそも席を男女別に分ける必要がなくね? あと、子供の安全よりも出生時に割り振られたジェンダー通りにふるまうことの方に重きを置く人を、こういう仕事につけちゃいけないと思うわ。せめて就業前の最低限の研修が必要でしょうよ。

アゼルバイジャン当局、少なくとも100人のLGBTIの人々を逮捕し虐待

At least 100 LGBTI people rounded up, tortured and humiliated in Azerbaijan

2017年9月下旬からアゼルバイジャン当局が100人以上のLGBTIの人々を「国の伝統的価値にそぐわない」として拘禁し、暴力をふるったり、罵ったり、トランスジェンダーの人に対しては「医療上の検査」を強制したりしているというニュース。職場で捕まえられた人もいれば、自宅を強制捜査された人もいるそうです。チェチェンの次はアゼルバイジャンかよ。