石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

いじめられた息子をパパがマニキュアで応援

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米国で、サム・グベイア(Sam Gouveia)くんという5歳の男の子が、きれいだと思ってマニキュアをしたために幼稚園でいじめに遭いました。サムくんを励ますためある行動に出たお父さんのツイートが話題を呼んでいます。

詳細は以下。

Dad Paints Nails to Support His Son Who Got Bullied

お父さんの一連のツイートの出だしの部分を、まずごらんください。

訳:

この子はわたしの息子のサム。5歳です。今日彼は、#有害な男らしさがいかにクッソひどくて人に害を及ぼすものなのかを知りました。今わたしの激怒メーターが跳ね上がっているため、ちょっとキツい言い方になっていたらすみませんが、#ジェンダー規範の駄法螺*1について言いたいことがあるんです。(以下、スレッドで)

This is my son, Sam. He’s 5. And today he learned how shitty and harmful #ToxicMasculinity is. My rage meter is spiking right now so excuse me if this is a little raw but there are some things I want to say about BS #gender norms (a thread)

ここから始まって、このお父さんは、サムくんがいわゆる「男の子らしい男の子」(a boy's boy)で、スポーツやトラックや乱暴な遊びが大好きで、でも同時に「女の子の」ものとされていることも大好きだということを説明しています。自分の爪に明るい色のマニキュアをするのも、彼の大好きなことの一つ。理由は「きれいだから」。

さて、このマニキュアが原因で、サムくんはトラブルに巻き込まれることになりました。

訳:

サムは今朝、得意げに赤いマニキュアを塗って幼稚園に行きました。サムにはマニキュアは女の子だけのものだという発想や、きれいな爪をよく思わない人がいると考える理由が、まったくないからです。

So he proudly wore his red nail polish to kindergarten this morning because Sam has absolutely no concept of nail polish only being for girls or reason to think anyone would possibly have a problem with beautiful nails.

訳:

でもサムのクラスメイトはよく思わなかったんです。ひどいことになりました。サムはマニキュアをした男の子だからという理由で笑いものにされました。クラスメイトたちはサムの悪口を言い、マニキュアを取れといいました。一日中ずっとです。

But his classmates did have a problem. A big one. Sam was ridiculed for being a boy with nail polish. They called him names and told him to take it off. This lasted the entire day.

この間、幼稚園でサムくんをかばってくれた子はひとりしかいなかったとのこと。お母さんが幼稚園にお迎えに行ったときサムくんは大泣きして、その後お父さんに「からかわれないようにママにマニキュアをとってほしい」と言ったのだそうです。

ここからのお父さんの怒りの連続ツイートはぜひ全部読んでいただきたいところなんですが、ふたつだけ選んで訳します。

訳:

息子は完璧とは程遠いけれど、大きな心を持っていて、すごく共感力のある子なんです。身の回りのあらゆるものに美しさを見つける子で、この5年間、人と違っていることを恐れるようなことは一度もありませんでした。サムにとっては、人と違うことは決して「悪い」ことではなかったからです。今までは。

My son is far from perfect but he’s got a huge heart and empathy for miles. He finds beauty in everything around him and for 5 years he’s never been afraid to be different because different has never meant “bad.” Until now.


訳:

この子たち(訳注:サムくんを一日中からかった子たち)がまだ幼稚園児だっていうことはわかってますが、人に害を与えるこういう男らしさの駄法螺は、後天的に学習されるものです。たいていは親から学習されます。てなわけでご両親がた、さぞやご自慢なことでしょう。これがあなたがたのお望みなんでしょう。ご満足でしょう。

I know these kids are only in kindergarten but this toxic masculinity bullshit is LEARNED. Learned most of the time from parents. So parents, I hope you’re proud. I hope this is what you wanted. I hope you’re satisfied

こうやって怒るだけではなく、お父さんはサムくんを一生懸命なぐさめ、結果としてこうなったんだそうです。

訳:

熟慮の上、サムはマニキュアを取らずに残しておくことにしました。自分が気に入っていて、気分をよくしてくれるものだからです。それからサムの10歳の兄が、弟との結束を示すために自分自身の爪にマニキュアをし、この時点でわたしは泣きそうになりました。

After careful consideration, he’s leaving it on. Because he likes it and it makes him feel good. Then Sam’s 10-year-old brother painted HIS nails in solidarity with his sibling, at which point I nearly cried.


訳:

感動したのでわたしの爪もマニキュアしました。サムはこの「メイン・スクイーズ」という名の色を選び、わたしはこれは過小評価されているけれどすてきだと思っています。サムの爪は赤のままで、理由は「きれいだし、ペイトリオッツの幸運を願ってるから」。

That moved me to paint MY nails. Sam picked out this color called “Main Squeeze” & I think it’s understated but lovely. Sam is sticking with red because “it’s pretty and good luck for the @patriots.”

お兄さんもお父さんもすばらしいな!

男の子が「女の子向け」とされているものが好きだからという理由でいじめられたり罵倒されたりしたという事件は以前からたくさん起こっています。うちのブログで過去に紹介した中でいちばんひどいのは、おそらく、『マイリトルポニー』が好きだという理由でいじめられた11歳の少年が自死未遂し、脳にダメージを負ったというこちらの事件。

このほか、お店でおもちゃやDVDを買おうとしていて、知らない人からいきなり非難されたというケースもありました。

Redditで、2歳の息子にDIYでおもちゃのキッチンセットを作ってやったお父さんの書き込みに、ホモフォビック/トランスフォビックなコメントが殺到したという事件もありました。

こういうひどい事件をなくすには、なるべくたくさんの大人が「人と違ってて何が悪い」、「きれいなものが好きで何が悪い」と言い続けるしかないよね。幸い、サムくんのお父さんのツイートのスレッドの下のほうを見ると、とてもたくさんの男性がネイルをした自分の手の写真を投稿して、サムくんとお父さんへの支援を表明していることがわかります。ドラマ『フォスター家の事情』で、マニキュアが原因でいじめられた男の子のお母さんを演じていた女優のシェリ・ソーム(Sherri Saum)も「1000%味方する」とツイート。世の中そう捨てたもんでもないぜ。くっだらないジェンダー規範の駄法螺なんて、こうやってさっさとぶっ壊しちまおうぜ。

*1:キャトリン・モラン著『女になる方法 ―ロックンロールな13歳のフェミニスト成長記―』(北村紗衣訳、青土社)の名訳に倣い、"bullshit"に「駄法螺」という訳語を当ててみました。