石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

今週の未紹介LGBTニュース(2019年1月6日)

The Prom: A New Musical (Original Broadway Cast Recording)

『グッドモーニングアメリカ』で同性キス 『ザ・プロム』のパフォーマンスで

米国ABCの朝の情報番組『グッドモーニングアメリカ』で、ミュージカル『ザ・プロム』のキャストが劇中曲“It’s Time to Dance”の場面を披露し、女性主役同士がキスしました。

『ザ・プロム』は、米国の田舎町の女子高生エマ(Caitlin Kinnunen)が、ガールフレンドのアリッサ(Isabelle McCalla)と一緒にカップルとしてプロムに行くため奮闘するという物語。米国の百貨店チェーン、メイシーズの2018年のサンクスギビング・デイ・パレードでもキャストらがこの曲のパフォーマンスを披露し、NBCによって中継されました。ちなみに1924年から続いているこのパレードで、同性同士のキスがテレビ放映されたのはこれが初なんだそうです。


ゲイカップル、レストランで窒息した女性客救う 米フロリダ州

Gay Couple Saves Choking Woman at Steakhouse in Boca Raton | NewNowNext

2019年1月1日、米国フロリダ州ボカラトンのステーキハウスで食事をしていたカールトン・ブラウン(Karlton Brown)さんと夫のポール・フォガーティ=ブラウン(Paul Fogarty-Brown)が、異物をのどに詰まらせて窒息した女性客を救急蘇生法で救いました。この女性客は意識をなくして心拍も停まっており、消防団員で2年に一度心肺蘇生法の訓練を受けているブラウンさんが胸骨圧迫して上腹部圧迫法をほどこし、異物を吐き出させたとのこと。女性はボカ地区医療センター(Boca Regional Medical Center)に運ばれ、現在安定した状態にあるそうです。なお、ブラウンさんらはふたりとも心肺蘇生法の資格を持っており、もっとたくさんの人に心肺蘇生法や一時救命処置の訓練を受けてもらいたいと話しているとのこと。

米国で記録的人数のLGBTI議員誕生

Record number of LGBTI people are sworn into US Congress

2019年1月3日、昨年の中間選挙で改選された米国連邦議会が初招集され、記録的な人数のLGBTI議員が宣誓しました。中間選挙で新たに連邦下院議員となったLGBTIの人々は、Angie Craig,、Sharice Davids,、Katie Hill 、Chris Pappasなど。再選された下院議員は、Mark Takano、Sean Patrick Maloney、David Cicillineなど。また上院では、Kyrsten Sinemaが史上初のオープンリー・バイセクシュアルの議員となり、宗教保守のマイク・ペンス副大統領の前で宣誓をしたことで話題になっています。聖書ではなく法律書で宣誓したんですよ、この人。

これで少しは風向きが変わっていくといいな。「会議に女性がひとりいるのはトークン、ふたりだとマイノリティ、3人でようやく本当にそこにいるってことになる」というけれど、性的少数者でも似たようなもんだと思うんですよ。意思決定の場にコミュニティの代表者が何人いるかって、大事よ。

アンソニー・ボウエンズ、今度はゲイとしてカミングアウト

Pro Wrestler Anthony Bowens Comes Out—Again | NewNowNext

米国のプロレスラーで2017年に両性愛者としてカミングアウトしていたアンソニー・ボウエンズ(Anthony Bowens)が、2019年1月1日、ゲイとしてカミングアウトし直しています。

簡単にまとめると、以前は本当に自分はバイセクシュアルだと思っていたのだけれど、それはクロゼットにいたせいでLGBTQの人々についてよく知らなかったためであって、今ではゲイという自認の方がしっくりくるということみたい。なるほど。こういう認識の変化ってよくあることだし、本人がそれで納得しているのなら何より。

エレンがケヴィン・ハートとのトークで炎上

People Are So Not Here for Ellen’s Defense of Kevin Hart | NewNowNext

(2019年2月4日追記)ケヴィン・ハートはエレンとのトークの中で、自分は過去のホモフォビックな発言について10年前にもう謝罪していたという趣旨の発言をしていますがVultureの調査によれば、彼がオスカー司会を降板した2019日12月7日までにそのような謝罪をした形跡は発見されていないそうです。(追記ここまで)

オープンリー・レズビアンの米コメディアン、エレン・デジェネレス(Ellen DeGeneres)のトークショー『エレンの部屋』に、過去のホモフォビック発言が原因で先日オスカー司会を辞退したケヴィン・ハート(Kevin Hart)が出演。エレンがケヴィンを司会にするようアカデミーに連絡したと発言し、さらにケヴィンを批判者する人を「ヘイター」または「荒らし」扱いしたとして、批判が集まっています。

問題のトークはこちら。

批判ツイートを3人分貼っておきます。上からコメディアンでライターのライアン・フーリハン(Ryan Houlihan)、ゲイのコメディアンのルイス・ヴァーテル(Louis Virtel)、BuzzFeedNewsの記者アダム・B・ヴェリー(Adam B. Vary)の意見です。

CNNアンカーのドン・レモン(Don Lemon)も、今回の『エレンの部屋』でのトークについて、「ケヴィンにとってはジョークだったことが、米国の小さな男の子たちにとっては現実なんだ」「今もどこかで黒人のパパが黒人の息子を殴ってる」「エレンは(LGBT)コミュニティ全体の味方にはなっていない」などとする意見を発表しています。

ケヴィン・ハートは過去に息子がゲイだったら「つぼみのうちに摘み取る」だの、(娘のおもちゃの)人形の家を息子の頭に叩きつけて壊すだのという「ジョーク」を披露したことなどが問題視され、オスカー司会を降板すると発表した人。2015年のRolling Stonesのインタビューでこれらの「ジョーク」について訊かれたとき、ケヴィンはこれは自分の恐怖心を笑ったもので、自分の不安のせいで息子に腹を立てるというところがおもしろいんだと説明していました。個人的には、「本当にそうなら予定通りオスカーの司会をして、そこで『息子がゲイかもしれないと思っただけでパニックする馬鹿な俺』を笑うジョークをやってみせて、パンチラインとして頭に壊れた人形の家をのっけたエレンを登場させるぐらいすればいいのに」と思ってたんですよ、あたし。しかし当のエレンは全然違う方向性でケヴィンをかばうことにしたようで、なんだかあっけにとられました。ただでさえ年々減ってきたアカデミー賞への興味が、さらに薄れたわ。

ブラジル新大統領、早くもLGBTQコミュニティを攻撃

Brazil's New President Is Already Attacking LGBTQ Rights | NewNowNext

ブラジルで2019年1月2日、「カリオカのトランプ」と呼ばれる極右のジャイロ・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)が大統領に就任し、その数時間後にはもうLGBTコミュニティを人権省の懸案事項から外したそうです。

ボルソナロ氏の過去の問題発言は、APのこちらの記事がわかりやすいと思います。ざっくり訳して箇条書きにしてみると、以下のようになります。

  • (María del Rosario下院議員に向かって)「わたしはあなたを絶対にレイプしないだろう、なぜならその価値がないから/不美人で、タイプではないから」
  • 「息子が同性愛者だったら愛せない」「息子がマッチョな男とつきあうぐらいなら、事故で死んでくれた方がましだ」
  • (2002年に、同性婚賛成イベントの写真に当時ブラジル大統領だったフェルナンド・エンリケ・カルドーゾが映っているのが見られた後で)「反対するつもりも差別するつもりもないが、ふたりの男がキスしているところを見たら、わたしはそいつらをぶちのめす」
  • 「キロンボ(植民地時代のブラジルで逃亡奴隷が作った居住地)を訪れたが、アフリカ系の子孫の一番痩せている者の体重が7アロバ(役105kg)だった。彼らは何もしていない! 生殖の役にさえたたない」

なお、同じくAPの報道によると、「昨年12月半ばに発表された世論調査によると、国民の6割以上はボルソナロ政権に好意的」なんだそうです。地獄か。

4人の男がトランス女性に暴力 殺すと脅迫 パキスタン

Armed Men Beat Trans Women in Pakistan's Capital | NewNowNext

2018年12月30日、パキスタンの首都カラチでひとりの男とその3人の息子がトランス女性の家に押し入り、棒で殴るという事件が発生しました。4人はまずトランス女性のNoorさんとNargisさんの家に侵入してふたりを叩きのめし、次に他のトランスジェンダーの人々も殴って、この地区から出ていかなければ殺すと脅したのだそうです。

地元のトランスコミュニティは、Malir Press Clubの前でこの暴力に抗議する集会を開き、もし犯人が逮捕されなければナショナル・ハイウェイでシット・インを決行すると発表しているそうです。


年明け早々ホモフォビックな暴力連発 チリ

Gay men tortured and beaten in seperate homophobic attacks in Chile

2019年に入ってすぐ、チリでゲイをターゲットにした暴力事件が二件勃発しました。

ひとつめは、1月1日、ポルベニールで、52歳のホセ・ダビッド・ムニョス・バルガス(José David Muñoz Vargas)氏が熱湯の入ったバスタブに頭を押し込まれ、深刻なやけどを負って病院に搬送されたというもの。 La Prensa Australによると事件はムニョス・バルガス氏が自宅で何人かの人と一緒に年越しのお祝いをしているときに起こったもので、氏の甥のひとりが、このやけどはホモフォビックな暴力と関係があった可能性があると発言しているとのこと。事件にはビルチェス(Vilches)という苗字の男が関与しているとみられ、身元も特定されているものの、まだ逮捕には至っていないそうです。

もうひとつの事件は、同じく1月1日、バルパライソで24歳の男性がゲイだからという理由で意識不明になるほどの暴力をふるわれたというもの。被害に遭った男性は、同じ車に乗っていた加害者の前でパートナーと電話で話していたところゲイかと聞かれ、そうだと答えたら、国境近くの塩湖ラグナ・ベルデまで連れていかれて性器を足で踏まれる・たばこの火を押し付けられる・頭を岩で殴られるなどの暴力に遭ったのだそうです。被害者は翌日、見当識障害を起こした状態で目を覚まし、通報して助けを求めたとのこと。

Gay Star Newsでも言及されていますが、チリでは2015年、ダニエル・サムディオ(Daniel Zamudio)さんというゲイ男性が公園でネオナチ4人から壮絶な暴力を受けて亡くなったばかりです。ラム酒の瓶を被害者の頭に叩きつけて割った上に、その割れた瓶の首を持って背中に鉤十字を刻んだりしたのよ、加害者たち。彼らはこのほか被害者に尿を飲ませるだの、たばこの火を押し付けるだの、8kgもある石を何度も脚に叩きつけて骨を折るだのということもしていて、公共の場でこれだけ凄惨な暴力がふるわれたことに社会が衝撃を受けたはずなんですが、こうしてみると4年経っても状況はあまり変わっていないのかも。