- 出版社/メーカー: オデッサ・エンタテインメント
- 発売日: 2012/03/30
- メディア: DVD
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女子校演劇部が舞台の、ちょっと切ない百合話
良い映画でした。ビデオで見ていた1時間半の間じゅう、幸福な気分でいられました。まず、つみきみほがとてもいいし、全体的にわざとらしい百合路線に陥っていないのもいいです。原作と違う点も違和感なく処理できていますし、青春ものとしても、思春期恋愛ものとしてもお勧めできる作品だと思います。
つみきみほ最高
原作と違ってちょっと切ないポジションにいる杉山を、つみきみほが好演しています。この杉山を見るだけでも、『櫻の園』を見る価値がありますよ。「存在感があって、飄々としていて、いい奴で、見てると泣ける」というこのキャラが、表情や間の取り方で本当にうまく表現されていると思います。
わざとらしくない百合度がいい
百合ブーム以前に作られた作品のせいか、「男が妄想するところの女子校百合恋愛モノ」みたいなわざとらしさが薄くて、安心して楽しめました。特に志水がチヨに「好き」というシーンなんて、さっぱりした描き方なのに、ひとひねりした切ない演出も加えてくれていて、とてもよかったです。
原作と違う点も、違和感なし
原作が「思春期少女たちが、自らの女性性と折り合いをつけていく姿」を淡く描いた傑作だとしたら、この映画版は「成長していく思春期少女たちの、時の流れへの敏感さ」を丁寧に描いてみせた傑作だと思いました。
テーマの変更にともない、各キャラクタの男性との恋愛のエピソードはことごとく削られています。アツコの処女喪失も、志水の「猫のおにいちゃん」も、チヨの失恋も、杉山の「俊ちゃん」もない。なのに話が全然スカスカしていないのは、話を創立記念日の一日だけに絞り、映画オリジナルのキャラクタ(城丸とか、サカグチ先生とか)をうまく配することで、クライマックスをきちんと盛り上げることに成功しているからですね。杉山のタバコ事件など、原作からのエピソードが話の要所要所にしっかり使われているので、原作と違う部分にもほとんど違和感を感じませんでした。うまいもんだなあ。
まとめ
すごくよかった。今までに見た邦画の百合/レズビアン物の中では、これがいちばん好きかもしれません。漫画の方が好きすぎて「イメージ違ってたらどうしよう」と未見のままでいる方、騙されたと思って一度見てみるといいですよー。