- 作者: きづきあきら
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2006/08/25
- メディア: コミック
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おっもしろいよこれはー!!
この作品の感想を一行でまとめるなら、「あやうい・きわどい・ぞくぞく・虚をつかれる・ドキドキ・にやにや」となります。レズビアニズムを含めたさまざまな「一筋縄ではいかない性愛」が詰め込まれた短編集なんですが、どの作品も、読み手の神経をじりじりと炙りつつ、奇妙な優しさとエロティシズムが漂う着地点にふわりと到達するところがたまりません。おっもしろいよこれはー!!
この作品のレズビアニズムについて
ラヴだけでなく独特のあやうさと毒もあわせ持つお話ばっかりなところが最高。百合漫画の傑作『乙女ケーキ』(タカハシマコ、一迅社)の甘さと苦味をそのままに、内容をもう少し大人向けにした感じ……という言い方で伝わるでしょうか。身体の関係もしっかり出てくることですし。
特筆すべきは、これだけスリリングな♀♀関係を描きつつも、ステレオタイプな絶対悪が存在しないってことですね。いちいち男性を悪役にしてレズビアニズムを持ち上げようとしたり、あるいはレズビアンをモンスター扱いして異性愛マンセーに回帰したりしないところが、読んでいてとても気持ちよかったです。
個人的に一番好きなのは「針とオレンジ」。表題の意味が判明するあたりがやらしくてスリリングで、いいです。あと、冒頭でガーンと落としておいて意外な方向に展開していく「おくるコトバ」も好き。あの最後のコマ、たまりません。
この作品のその他のフェティシズムについて
「ステレオタイプな絶対悪が存在しない」という基本方針は、レズビアニズムのみならず他のさまざまな性愛――SMやのぞき、ショタ、メガネフェチ、指フェチ、監禁など――を扱った作品にも共通しています。たとえば「まほうのめがね」はのぞきを扱った作品ですが、単純な勧善懲悪には決して陥らず、大きくひねった後に鮮やかな結末に着地していく点がみごとでした。
まとめ
さまざまな危うい恋を大切に描いて詰め込んだ、宝石箱のような一冊だと思います。レズビアン漫画も、それ以外の漫画もどれもとてもよかったです!