石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『アオイシロ―花影抄―(3)』(片瀬優[画]/麓川智之[原作]、ジャイブ)感想

アオイシロ 3―花影抄 (CR COMICS)

アオイシロ 3―花影抄 (CR COMICS)

整合性を高めオチも充実させたグランドルート

正直な印象は「○○○○○のキャラクタがたくさん出てくる以外、全体的な流れはPS2版のグランドルートとそう大きく変わらないんじゃ……」といったところでした。しかし、よく見ると

  • 唐突な首チョンパEDがない
  • 安易な「気がつくとなぜか無事浜辺に」パターンの多用がない
  • クライマックスでの梢子の力に、合理的な説明がつく
  • ○○が体に戻る理由が自然
  • 梢子たちの島への渡り方がリーズナブル

などなど、細部の整合性がずいぶん高まり、読みやすくなっています。オチも全員の「その後」が丁寧に描かれており、PS2版グランドルートの唐突な一枚絵EDより大団円らしくて良いと思いました。百合っぽさにはあまり期待しない方がいい内容となってますが、変にあざとい萌え狙いの百合シーンを入れるより、この方がよっぽどいいんじゃないかと思います。

ただし、アカとアオを両方プレイしていないと辛いかも

今回は登場キャラが非常に多いので、いつにも増してキャラクタの見分けがつきづらいです。1〜2巻で既出の皆さんはさすがにすぐ識別できるのですが、3巻で新たに登場したあの人たちは、「えーっと……?」と悩み悩み読み進めることとなりました。『アカイイト』と『アオイシロ』を両方プレイしている自分でさえこうなのですから、未プレイの方にはかなり辛いのでは。あくまで両方のゲームをプレイした人向けの作品だと思います。

巻末の番外編がよかったです。

汀と烏月の話なのですが、冒頭のおどろおどろしさといい、汀の心境の変化といい、面白かったです。

まとめ

あくまでアカとアオを両方プレイした人向けの、「アオイシロ改良版グランドルート」という感じの1冊でした。ゲーム版の冗長さとご都合主義を廃し、アカイイト好きへのファンサービスも盛り込んでここまでコンパクトにまとめるのは大変だったんじゃないかと思います。キャラクタの見分けがつきづらいという難点こそありますが、ゲーム版よりこちらの方が個人的に好き。