石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『幼艶百物語』(ひねもすのたり、蒼竜社)感想

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ひねもすのたり

蒼竜社 2007-09-20
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レズビアン物のクィア性が光ってます

18禁エロ漫画。全10編のうち3編がふたなり、1編がレズエロで、あとは姉弟・女装少年・ロリ・調教・露出等々。ショートカット美少女が多い点は同作者さんの『制服偏愛』と同じですね。レズビアン短編「純情の貝児(じゅんじょうのかいちご)」に見られる意外なクィアっぽさがとてもよかったです。

「純情の貝児」について

この作品は、同級生の「あや」とつき合っている少女「なつき」の物語。放課後の教室での「指と舌」系リバセックスがメインのお話なのですが、瞠目すべきはふたりのH中の会話です。まず、なつきのこの台詞(p. 95)をどうぞ。

あたし…変なのかな…あっ 女の子なのに…女の子に気持ちよくさせられちゃって…る

これだけだったら「はいはい手垢のついた同性愛嫌悪乙」「ほんっとにノンケってこういう台詞好きよね」で終わってしまうところです。ところが、これを受けてあやがきっぱりと返す台詞(p. 96)がとてもいいんですよ。

好きになった人が同性っていうだけで異常というなら 私は正常でなんてありたくないわ

おおー。正直、「あたし…変なのかな…」的なホモフォビックな台詞に「背徳感」とやらを感じて大喜びする読者も多いエロ漫画界で、よくぞこんな胸のすくような台詞を、と思いました。異性愛規範をまるで絶対視しないこのクィアネスに、大拍手。

その他

セーラー服の女装少年を姉が犯す「背徳の小袖の手」もエロくてよかった。こういうのを読んでいると、ジェンダーとか生えてる/生えてないとかの境目がどんどんぐらついてきて楽しいです。そういう意味では、この作品もとてもクィアだと思いました。

まとめ

全体としては「ロリっぽい絵柄の、ふたなり寄りエロ短編集」なんですが、随所に光るクィア性がとても楽しかったです。レズビアン物の短編もよかった。