- 作者: 石見翔子
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2009/03/26
- メディア: コミック
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ガチありエロあり毒もありの、ハートウォーミング百合4コマ
新聞販売店で住み込みで働く少女たちが主人公の4コマ漫画、第2巻。ゆめとゆうきのガチカプは1巻を上回る飛ばしっぷりですし、ようじょ好きなエロストーカー・はるかも元気いっぱいに誤電波を受信していて楽しかったです。あと、かなと九地院のカプが意外な方向性を見せているところもよかった。単なるほのぼの話ではなく、昏さや毒やきわどさが絶妙な割合で仕込まれているところも素晴らしかったです。
ガチカプの飛ばしっぷり
ゆめとゆうきときたら、一緒に寝てることは明らかにされるし、タチネコまでわかっちゃうし、「ゆめのことになると鬼っ娘」なゆうきの凄みのきいた発想(p. 41とか)にもゾクゾクさせられました。あと、このふたりの過去が少しだけほのめかされるところもよかった。こうした設定がさりげなく明かされることで、お話の厚みと広がりがぐんと増していると思います。
エロエロお姉さんなはるか
巻頭カラーからして既に大爆笑。本編の方でも、相変わらずのド変態(誉め言葉)ぶりが輝いています。こういう「変態レズストーカー」的なキャラクタって昔からありますが、たいていの場合、単なる「レズビアン=セックスモンスター」という社会通念をなぞるだけにとどまっていて、ガチな人である自分から見ると不快なものが多いんです。ところが、『かなめも』におけるはるかの存在は、あたしには決して嫌じゃない。これは何故かと考えるに、「この作品では、はるかは『レズビアンのうちのひとり』にすぎないから」だと思い至りました。
つまりですね、異性愛者の中に唯一「変態レズストーカー」が混じっていて眉をひそめられる、というありがちな構図ではなく、
- ゆめとゆうきのようなラブラブ♀♀カップルもいて、
- かなと九地院のようなほのぼの♀♀カプ(時々毒も効いてますが)もいて、
- その中にようじょ好きなエロエロレズビアンもいる
という図式になっているおかげで、別にはるかがひとりで「レズビアン代表」的な役割を負わなくてもいいようになってるんですね、このお話は。こういう描き方なら、はるかがどれだけ誤電波受信しようと安心して見ていられます。節分の超きわどい発言(p. 89)なんて、笑った笑った。
かなと九地院の意外な方向性
「お嬢様キャラ(九地院)が貧乏人(かな)をいぢめる」的なよくあるパターンでいくのかなと思いきや、全然違う方向に突き進んでいくところが楽しかったです。間接キスや頭なでなでに頬染める初々しい関係でありながら、気がつくとかなが九地院を手玉にとる昏い愉しみに目覚めていたりして、そのへんの甘さと毒との配分が絶妙でした。
昏さや毒やきわどさ
ここまで述べてきたように、女のコ同士の関係が、ただ甘いだけじゃなくて昏さや毒やきわどさもチラリと顔を出す描き方をされているところがとてもいいです。さっくり読める4コマ漫画でありながら、ところどころに読者をして「おお!」と思わせるようなひっかかりを意図的に仕込んである感じ、という言い方で伝わるでしょうか。
まとめ
単にハートウォーミングなだけでは終わらない仕掛けが随所に仕込まれていて、1巻に勝るとも劣らない面白さでした。ガチカプがしっかり出てくるところも嬉しかった。3巻もとても楽しみです!