石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

10年間で20人、そしてまだまだ! 里子・養子を育て続けるNYのレズビアンカップル

home sweet home
home sweet home / Diana Parkhouse

ニューヨーク・タイムズが、10年間で里子・養子・実子を合わせて20人も育てたサウスブブロンクスのレズビアンカップルについて書いています。

詳細は以下。

In the Bronx, 20 Kids and Counting

このカップルはエシー・スカボロー=ハリス(Eshey Scarborough-Harris)さんとパリス・ハリス(Paris Harris)さんといいます。サウスブロンクスのモット・ヘイヴンにある家で、行き場のない女の子や若い女性を保護し、育て続けてもう10年になるそうです。里親として育てた子もいれば、養子として引き取った子もいます。スカボロー=ハリスさんの実子マーシー(marshey)さんも、この家で育ちました。

ふたりは当初、住む家がないLGBTユースに住居を提供する計画だったのに、気がつけばなぜかこんなことになっていたのだそうです。結果として、LGBTユースはもちろん被虐待児や犯罪歴のある子、薬物中毒だった子などもこの家族の一員となったとのこと。

スカボロー=ハリスさんによれば、ふたりは、これまでもう十分困難と不安定さに耐えてきた若者たちを保護し養育せずにはいられないと感じているのだそうだ。

「わたしたちがしている人助けは、この星に住むための家賃だと思っているんです」と、スカボロー・ハリスさんは語った。「10年間で20人の子供を育てましたが、まだ終わりそうもありませんね」

Ms. Scarborough-Harris said they felt compelled to shelter and nurture youths whose lives had already endured enough hardship and uncertainty.

“We believe the service we give is the rent we pay to stay on the planet,” Ms. Scarborough-Harris said. “It’s been 10 years and 20 kids, and it just doesn’t look like it’s going to end.”

このふたりが引き受けているのは、「(福祉)システムの亀裂から転げ落ちてしまう」危険のある、14歳以上の女の子。元記事にはフォトジャーナリストのスティーブン・ライス(Stephen Reiss)氏が撮影したこの一家の写真が計20枚、キャプションとともに添えられており、ひとくちに14歳以上といっても実にさまざまな子がいるのがわかります。妊娠中の子もいれば、それまで住んでいた保護施設が閉鎖され、幼い子供ともども行き場をなくした若い母親もいます。この家に来たときには「英語もしゃべれなかった」(ハリスさん談)のに今では大学の優等生だという子もいるそうです。

上記のライス氏はニューヨークの国際写真センター(International Center of Photography)でドキュメンタリーとフォトジャーナリズムについて学んだ写真家で、この家族の姿を写真におさめるプロジェクト「HOME」を手がけてもう5年。スカボロー=ハリスさんたちの奮闘に終わりがないのと同様、ライス氏の撮影にも終わりはありません。氏は以下のように話しています。

これはあなたがたのすぐ身近なところで起こっていることだと人々に知らせるよう努めることが、ドキュメンタリー写真家としてのわたしの仕事だと思っています。

I think it’s my job as a documentarian to try and inform people about this issue right in their backyard.

たしかに、もっと知られてほしいですね、こういうこと。同性愛/同性婚は「伝統的な家族の価値を破壊する」とか、「生殖にたずさわらないから認めるべきでない」なんてことをしたり顔で言う人はまだまだたくさんいますが、その「伝統的な家族」とやらから虐待されたり追い出されたりした子供たちをこうしてせっせと助けている同性カップルだって、そこらじゅうにいるんですから。

余談ですが、実はこの記事はうちの彼女が「うちの猫保護みたいなことをフォスターケアでやってるレズビアンカップルがNYにいた」と教えてくれたものだったりします。全文を読んで「なるほど」と思いました。うちがこの10年間で保護した猫は全部で40匹ぐらい。当初はまったくそんなつもりはなかったのに、気がつけば次から次へと拾って育てて病気や怪我を治して里子に出して、飼い主が見つからなかった子はうちで面倒をみて、というサイクルがエンドレスで続いています。でも猫は1~2年でおとなになるけれど、人間の子はかかる時間も労力もケタ違いですからね。このカップルに敬意を示すと同時に、うちの猫保護も「この星に住むための家賃」だと思って精出してがんばろうと思った次第でした。