石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

「銃はOK、ゲイは不可」米国のプリントショップ、店頭のステッカーで主張

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米国ケンタッキー州の印刷店が、取り消し線入りのレインボーフラッグのステッカーを入り口に貼り、「同性愛を宣伝する」客へのサービスは拒否すると主張しました。この店の他のステッカーを見る限り、「銃」「髭」「聖書」は歓迎されているらしいです。

詳細は以下。

Ky. Print Shop: Guns? OK. Gays? Go Away | Advocate.com

くだんのステッカーは以下参照。

このプリントショップ「ヘラルド・エンブロイダリー」(Herald Embroidery)は、Tシャツなどの衣類や、旗、ポスターなどのプリントを請け負うお店。これらのステッカーが批判を浴びたせいか、現時点でこの店は5枚のステッカーをはがし、代わりに文字だけの説明文を印刷した長方形の大きなステッカーに替えているようです。この長方形ステッカーと同じ文面が、お店の公式Webサイトにも載せられていたので、ちょっと引用して訳してみます。

当店は、リスペクトをもって当店を扱ってくださるすべてのお客様にサービスを提供する一方、私どもの良心と調和しない考えを宣伝するプロモーション用製品の製作をお断りする権利を保有しております。これには、同性愛を促進するコンテンツ、フリーメーソンの組織、汚い言葉の使用、不謹慎な行為を促進する画像などが含まれますが、それだけというわけではありません。

“While we will serve all customers who treat our place of business with respect, we reserve the right to refuse to produce promotional products that promote ideas that are not in keeping with our consciences. This includes, but is not limited to content promoting homosexuality, freemasonry, the use of foul language, and imagery which promotes immodesty.”

客にはリスペクトを期待する一方、店側はゲイの客をリスペクトしないという宣言ですな。このような経営方針をジム・クロウ法(アメリカ南部の黒人差別法)になぞらえて批判する声もあり、もっともだと思いました。

MozillaのCEOが同性愛差別でポストを追われNBAのオーナーが人種差別で永久追放される昨今に、商業施設がここまで恥ずかしげもなく差別を表明するというのも興味深い話ですね。いちレズビアンとしては、こういう宣言は「行っちゃいけない店」がよくわかってかえってありがたいとも言えます。お金を落とす企業は選びたいですからね。

こうした「同性愛お断り」な経営方針を信仰の自由として擁護する向きもあるでしょうが、キリスト教的な観点からは、PinkNewsのコメント欄にすばらしいツッコミがありましたよ。

でもシュリンプ・バーベキューのチラシは印刷してもらえるんでしょ? ああ、ポリエステルとコットン混紡のシャツの、半額セールのチラシもね……。

But I can print my Shrimp Barbecue flyers right? Oh and my Half Off Sale on PolyCotton shirts . . .

そうなの。もし聖書のファンダメンタルな解釈を根拠に「同性愛の宣伝」を拒否するのであれば、「水の中にいて、ひれやうろこのないもの」を食べることの宣伝も、「二種の糸の混ぜ織りの衣服」を身につけることの宣伝もしちゃいけないはずなの。同性愛だけえり好みして拒絶するのは、ただのホモフォビアですよ。このお店の売り上げが今後、ホモフォビックな人からの支持で伸びるのか、それとも差別を嫌う人からのボイコットで減るのか、ちょっと興味ありますね。