石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

同性婚お断りのピザ店、それとは知らずゲイ・ウエディングにピザ提供

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「同性同士の結婚式にはピザを配達しない」と宣言して悪名をはせた米国インディアナ州のピザ店が、ついにあるゲイ男性の結婚式にピザを提供してしまいました。ただし、それとは知らずに。

詳細は以下。

Homophobic pizzeria accidentally catered a gay wedding · PinkNews

インディアナ州では2015年3月に「宗教の自由回復法」(Religious Freedom Restoration Act)が成立したばかりです。これは個人や会社が訴訟を起こされたとき「宗教上の理由」を弁護に使うことができるとするもので、同性愛者などへの差別を許容しかねないとして批判されています。

同法成立直後、同州ウォーカートンのピザ店「メモリーズ・ピザ」(Memories Pizza)のクリスタル・オコナー(Crystal O’Connor)氏はニュース番組で以下のように発言し、議論を巻き起こしました。

「もしも当店に同性愛者のカップルが入ってきて、自分たちの結婚式のためにピザを作ってほしいと言ったとしたら、ノーと言わねばならないでしょう」

“If a gay couple came in and wanted us to provide pizzas for their wedding, we would have to say no,”

「うちはクリスチャンの店ですから」

“We are a Christian establishment,”

これに怒った人たちが同店のボイコットを呼びかける一方、アンチゲイな人々は「メモリーズ・ピザを支えよう」とファンドレイジングで寄付金を募集。80万ドル以上のお金を集めています。

さて、ここで登場するのがイリノイ州のコメディアン、ロビン・トレビノ(Robin Trevino)さん。同性の恋人ジェイソン・デルガト(Jason Delgatto)さんとの結婚を控えた彼は、なんとはるばるインディアナ州のこのお店まで車を運転してピザを買いに行っちゃったんです。一部始終を録画した動画が公開されてます。

イリノイ州シカゴからインディアナ州ウォーカートンまでは片道約130km。異性愛者のふりをしてピザを購入するというミッションを無事やりとげたトレビノさんは、翌日の結婚式で誓いのキスを交わした後、招待客に一部始終を説明して、「メモリーズのピザが今、ゲイ・ウエディングに届きました!」と宣言。本当にピザを配って回ってます。

厳密に言うとこれはテイクアウトであって配達ではないんじゃないかとか、1日前のピザっておいしくないんじゃないかとか、いろんなツッコミはしたくなりますが、それは野暮というものでしょう。このピザ買い出しのポイントは風刺と笑いであって、トレビノさんはそれにみごと成功しているとあたしは思います。動画の中の皮肉のきいたキャプションもよかったしね。

ああでも、PinkNewsのコメント欄でのこのツッコミのかけあいにはにやりとさせられました。

ピザを買いにシカゴから車で出かけるってところがなんか皮肉だよね。

There is something ironic about driving from from Chicago for pizza.

シカゴにはピザはない、トマトソースパイしかないんだ。車でインディアナまで行くしかないんだ。

There is no pizza in Chicago, just tomato sauce pie. Driving to Indiana is your only option.

意味がわからない方は、"chicago tomato sauce pie"でのGoogle画像検索結果をどうぞ。シカゴはピザで有名ですが、シカゴスタイルの超分厚いピザ(『ディープディッシュピザ』『トマトソースパイ』などと呼ばれます)って、確かに一般的なピザとは別の食べ物なんですよ。