フランスの裁判所が、自分は男性でも女性でもないという認識を持つ人に対し、公式書類に「ジェンダー・ニュートラル」と記載する権利を認めました。
詳細は以下。
France legally recognises person as ‘gender neutral’ for the first time · PinkNews
この人物は64歳で、インターセックスの自認があり、氏名は公表されていません。裁判上の書類では、フランス語の「彼女(elle)」と「彼(il)」の間をとった"ile"という呼び方が採用されたとのこと。
裁判所は2015年8月、この人物には「私生活に関する権利」があるとし、「出生証明書は過去65年間にわたってムッシューXを男性ジェンダーに属するものとしてきたが、これを修正して『中立的な状態』を含めるべきである」という判断を下したのだそうです。なお裁判所は、州検察官の「第3の性を認めたら多数の訴訟が起こる」などとする主張を「まったくのでっち上げ」としてしりぞけたとのこと。
公的文書で「男」「女」以外の表記を認める認める動きというのは、既に他国でも起こっています。うちのサイトで紹介した例で言うと、このへん。
- ネパールがパスポートにサード・ジェンダー(第3の性)の項目追加 - 石壁に百合の花咲く
- タイ、新憲法で「第3の性」(サード・ジェンダー)を認める方向へ - 石壁に百合の花咲く
- ネパールの国勢調査、サード・ジェンダーの項目を採用 - みやきち日記
- インドの選挙委員会、投票用紙のジェンダー欄に「その他」の項目を設けると発表 - みやきち日記
他にはこんな例も。
- 公的文書の性別に第3の選択肢、オーストラリアが新指針発表 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
- 男でも女でもない「第3の性」ドイツ法改正で選択可能に 豪州に続く決定 - IRORIO(イロリオ)
- NZ introduces 'gender diverse' option | Stuff.co.nz
これまでのところ、ドイツ以外ではこうした動きはアジア太平洋地域ばかりだったので、「ヨーロッパの価値観にはなじみにくいのかしら」と思ってたんですが、ここにフランスが加わったことで今後の流れが変わるかもしれませんね。フランスがこの判断を"ile"氏にだけ適用するのか、それとも今後パスポートや身分証明書などのジェンダー表記方法を根こそぎ変えていくのか、気になるところです。